群馬県川場村にある「川場田園プラザ」は、地方創生の成功モデルとして全国から注目される道の駅だ。国土交通省の「全国モデル道の駅」に認定され、好きな道の駅ランキングでも全国1位を獲得。年間240万人を集客し、そのリピート率は驚異の7割に上る。実は現在に至るまでに、1度は赤字転落しV字回復した過去を持つ。再建の立役者に、その経緯と施設開発の極意を取材した。
年間240万人が来場半数が年5回以上訪問
群馬県の川場村は、名峰・武尊山の麓に広がる人口約3000人の農村だ。1981年に東京都世田谷区と「区民健康村相互協力に関する協定」を締結したのを機に世田谷区の保養所や研修施設などが設立され、その一環として道の駅「川場田園プラザ」の構想が立ち上がった。
93年に株式会社田園プラザ川場を発足し、94年から順次、「ミルク工房」、「ミート工房」、ファーマーズマーケット、そば店を開設。そして98年に「ビール工房」、ベーカリー、レストラン、物産館の営業も開始し、道の駅としてグランドオープンした。「農業+観光」による村づくりを事業コンセプトに、以降もさまざまな施設を開設し、一大観光地となった。
2004年から5年連続で関東エリアの道の駅ランキングでトップを獲得するようになり、14年には、国交省選定の「全国モデル道の駅」にも認定。最近では、旅行雑誌「じゃらん」主催の「道の駅グランプリ」で22年、23年と2年連続で日本一に輝いている。
東京ドーム約1.5倍の広大な敷地内には、池を囲むように約15の施設(一部テナントあり)が立ち並ぶ。地元の産直野菜と果物が買えるファーマーズマーケットをはじめ、地元食材を使った直営のレストランや、素材や製法にこだわった自社製造のパンや地ビール、チーズ、ヨーグルトの加工所と販売店のほか、物産センター、陶芸体験教室、子供が遊べる広場もある。敷地外には宿泊施設もある。通常の道の駅の滞在時間が30~40分なのに対して、川場田園プラザの滞在時間は平均3時間にもおよぶ。驚くことに来場者のリピート率は7割を超え、年5回以上来場するコアなリピーターが全体の5割を占めるという。コロナ禍で来場者数が一時減少したものの、22年度には年間約240万人が来場。その売上高は21億円に上る。
徹底したクレンリネス、全員でのディズニー研修も
田園プラザ川場は、川場村が60%を出資する第三セクターだ。好調に成長を続けてきたわけではなく、実は07年に赤字に転落した過去がある。同社総務部の小林昭仁部長は「まさか第三セクターが業績悪化で潰れることはないだろうと、危機感に欠ける経営体質があった」と振り返る。
そこで07年から経営再建を任されたのが、現在の永井彰一社長だ。同村出身で、米国法人の経営者も兼任する人物で、たった2年で黒字化に導いた。永井社長がまず着手したのが
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