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従業員トレーニングのために、「ストアツアー」が効果的な理由とそのやり方

こんにちは、成田直人です。前回、具体的なスタッフトレーニングのやり方について、5つのSTEPを紹介した上で、STEP1担当商品知識向上勉強会について、まずは、パートさんに「知識習得=お客さまの役に立つ」というマインドセットをし、業務時間内に勉強してもらうということを説明しました。本日は、その勉強の内容とともに、STEP2店内全商品の把握とSTEP3他部門の知識向上について解説します。 

DAISOに行き、店員に「○○はどこですか?」と聞けば誰一人いやな顔をせず、目的の商品に向かって道に迷うことなく案内してくれます。皆さんのお店でもできるように店内ツアーを実施しましょう!

いますぐできる! スタッフトレーニング

 STEP1の担当商品知識向上勉強会で勉強する内容は、複雑なものではありません。あくまでもスタッフの担当領域ですから、ここでのゴールは明確です。それは、いついかなる時にどんな質問をされても即答できる状態を作る、ということです。お客さまはどこからどんな質問をしてくるかわかりません。この時に該当スタッフが答えられなければあたふたしてしまいます。

 その際、あなたのもとに駆け寄ってきて「店長、お客さまから商品のこと聞かれたのですがわかりません」と相談に来たとします。この時点であなたとスタッフ、二人分の時間が取られてしまいます。商品知識を持っていれば一言(数秒)で終わったことが、二人の貴重な時間を5分ほど消費することになります。これは大きなムダで、しかも避けられるムダです。これでも、「時間がないからトレーニングできない」なんて言えますか?私はクライアント先で、「知識習得が何よりも一番大切」といつも言っていますが、その目的は、「時間効率を上げる」ためなのです。無駄な時間を過ごさなくてもすむように管理するのも店長の手腕なのです。

 結局知識不足のスタッフがいると周りが迷惑します。そして、「もっと勉強すればいいのに」と勉強している人が勉強していないスタッフに不満を持つようになるのです。その結果、スタッフの人間関係も悪化します。これを防ぐためにも、全員が一定水準の知識が持てるようにしなくてはなりません。

 その意味では、新人は特にトレーニングが必要です。なぜならお客さまから聞かれたことを、はじめのうちは、ほぼ100%答えられないからです。優しいお客さまならいいですが、「なんでわからないの?」とあからさまな態度をとられると新人スタッフは深く傷ついてしまいます。その結果、何が起こると思いますか? そうです、離職率が上がります。もう一度言いますが、これでも商品知識を身につけることの優先順位が低くなりますか?

 まずは、スタッフ自身の持ち場の知識習得を最優先にトレーニングをしていきましょう。私は始動時に「テスト」作成することをおすすめしています。なぜなら使い回しができ、毎回同じ話を違うスタッフにしなくてもすむからです。10問テストなど簡単にできそうなところから初めてもいいと思います。商品群Aから10問出題、商品群Bから10問出題と商品カテゴリーに合わせて10問テストを作成するようにしましょう。テストとなると勉強するのがまさに学生時代の習慣の力、皆テストを受けるからにはいい点をとらなくては、と頑張ってくれますのでぜひ試してみてください。冒頭で紹介した終わりのないゴールを目指して(商品入れ替えがあるため)日々知識向上に努めていきましょう。

 

次のページは
従業員向けに店内ツアーを開く狙いとそのメリット

店内ツアーを開こう
STEP2 店内全商品の把握
STEP3 他部門の知識向上

 

 続いてSTEP2店内全商品の把握とSTEP3他部門知識の向上です。ここでは2つのSTEPを一緒に説明します。

 私のクライアント先では、STEP1の後に、担当部門以外の商品がどこにあるかを100%把握することを指導します。私は100円均一ショップが好きなのですが、DAISOに行って、店員さんに「すみません、○○はどこですか?」と聞いてみてください。誰一人いやな顔をせず、目的の商品に向かって、迷うことなくたどり着き、あなたの欲しい商品の目の前まで案内してくれます。尊敬に値するプロフェッショナルです。きっとあなたの店は、大型の100円均一ショップと匹敵するくらいの商品があることでしょう。今までスタッフによっては一度も使ったことがない、あるいは触れたことがない商品も多々あると思います。ここでぜひ取り組んでいただきたいのは店内ツアーを開くことです。

 私がカー用品店で実際に取り組んだことを紹介しましょう。カー用品店は各カテゴリーに販売員がいます。この際、お客さまは目的の商品が見つからなければ近くにいる店員に声をかけます。そこで全スタッフが目的の商品の案内ができるようにするために、店内ツアーをはじめたのです。毎日ツアースケジュールが組まれていて、自信の無い売場のツアーがあれば最優先で参加することができます。そこではカテゴリーマスター(主任)が商品一つ一つの使い方をレクチャーしてくれます。どこに何があるかがわかるだけではなく、知識も習得できるので記憶力がアップします。何に使うかわからない商品のある場所をレクチャー受けてもお客さまは商品名で聞いてくるとは限りません。中には、「こんなやつ、あんなことに使うやつ」と用途をベースに質問をしてくるお客さまもいます。これでは商品の場所がわかっても案内することができません。しかもこのツアーは、何度も参加することができるので、自信がつくまで学習することができます。この手法は効果てきめんで、スタッフの商品知識が格段に上がり、店内の商品場所の案内と簡単な商品説明だってできるようになりました。

 これにより主任クラスの人がアルバイト・パートに時間を奪われることもなくなり、売上向上のためのアイデア作りや採用・教育にますます時間をとれるようになる好循環を手に入れることができました。ぜひあなたの店でもツアーを実施してきましょう。

 次回も、今回の続きを紹介します。お楽しみに!

 

なりた・なおと
19歳でABCマートアルバイト個人売上日本一を獲得。マネージャーになり昨年度対比1位、2位の原動力となる。その後、PC専門店PCデポに入社し、7ヶ月で個人売上1億円を達成。翌年、「良い」よりも「成果が出る」をモットーに小売・サービス・飲食業専門コンサルティング会社「株式会社FamilySmile」を創業。現在は、一部上場企業を中心にコンサルティング・研修・講演を手がけ多くの店舗で昨年度対比120%を達成。中には、3年で売上2倍になる店も続出するほどコンサルティングには定評がある。その功績が認められ日本三大褒章の一つ中小企業のノーベル賞と言われる「東久邇宮文化褒章」を受賞。セミナー講師ナンバーワン決定戦「S-1グランプリ」初代グランプリを獲得。