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ワークショップを通じて提案する「自身作」DIYのある暮らし

[女性向けDIY]Case Study●Tukuriba二子玉川店

Tukuriba二子玉川店
木目を生かしたtukuriba二子玉川店の店内。什器やインテリアの大部分も販売されている

「つくる」を楽しむ体験型DIYショップ「tukuriba(ツクリバ)」(東京都世田谷区)は、木工・クラフトなどのワークショップを月に60回以上開催している。同店を運営するクラフトスタイル専務取締役の新川孝一氏に、同店のコンセプトや運営方針、DIY需要のトレンドについて話を聞いた。(本誌:石山 真紀)

リノベーション文化を発信する体験型DIY店舗

クラフトスタイル専務取締役の新川孝一氏

 2015年3月にオープンした「tukuriba(ツクリバ)二子玉川店」は、「はじめての女性でもできるDIY」をコンセプトとした体験型DIYショップだ。同店は玉川髙島屋S・Cガーデンアイランド1階に位置。同SCにはアウトドア専門店やペットショップ、園芸店、カフェ、インテリアショップなどが入っており、週末は多くの家族連れでにぎわう。

 「DIY女子」の火付け役とも呼ばれる同店の新川氏は「現代の日本は少子高齢化によって人口が都市部に集中し地方が過疎化している。ここから見える大きな問題が空き家の増加だ。空き家をつくらないためには中古物件の流通を活性化すべきだが、欧米諸国に比べて日本はこの分野が大きく遅れている。また、空き家を民泊化する政策も注目されており、とくに日本の主婦層がDIYを楽しみ、自ら住みたい家をつくり始めていることに着目。この動きを応援し、DIYによるリノベーション文化を発信していきたいという思いから、この事業をスタートした」と語る。

ワークショップから広がるコミュニティの育成

作業風景が見えるワークスペース「tukuriba」

 「tukuriba二子玉川店」の売場面積は約330㎡。同店のコンセプトは〝はじめての女性でもできるDIY〟であり、「自身作をつくろう」をテーマに、作業風景が見えるワークスペース「tukuriba」を主として、テラスやアトリエなど作業スペースを随所に設ける。店内にある棚やテーブル、イスといった什器やインテリアの製作および、壁面のペイントや壁紙の貼付といった作業の大部分を、スタッフやワークショップ参加者が行っており、什器は一部販売も行っている。

 同店の最大の特徴は、木工・クラフトなどのワークショップを月に60回以上開催している点にある。ワークショップのメニューは約150種で、平均参加費用は3500~5000円。開店当初のワークショップは、参加費1000円前後の簡単なクラフトを実施していたが、スタッフやお客のニーズに応え、徐々に本格的な木工品製作が増えていったという。とくに人気なのは丸型のスツール(参加費用:5000円)で、最も高いものは1万8000円(キャビネット製作・6時間)。他のワークショップと比べても本格的かつ高額だが、人気のワークショップは即日に埋まり、予約待ちのコースも多い。

 ワークショップの講師はtukuribaの女性スタッフが行っており、1レッスンの参加人数は8名程度。電動工具や鋸といった道具の貸し出しも行っており、気軽に参加することができる。商圏は広く、半径5㎞の主婦層から千葉、埼玉などの関東圏、最も遠いところでは関西圏からもワークショップに参加。フェイスブックやインスタグラムといったSNSで情報発信し、コミュニティの会員数は1万人を超える。

店内の至る所にワークショップの作品例がディスプレーされている

 新川氏は「私でも家具がつくれる、DIYが楽しいと思わせる教え方ができるのはtukuribaならでは。他にはないワークショップに魅力を感じ、遠方から参加される方も多い。また、壁面のペイントや壁紙貼り、棚などの製作物をそのまま店内に使用することで、店自体に思い入れができ、リピート来店にもつながる」と話す。

tukuriba研修制度でノウハウを伝授

女性の手になじみやすいオリジナルの鋸や工具も取り揃える

 ワークショップ以外にも、物販をはじめワークスペースの貸し出しやオーダー製作、コンシェルジュサービスなど、各種サービスを提供している。物販の品揃えの基本はワークショップで使用するアイテムやキットだが、DIY初心者でも手軽に取り入れやすい金具やドアノブ、タイルや壁紙、塗料、木材、女性が持ちやすいオリジナルの鋸や工具も取り揃える。

 品揃えのポイントは「開発に女性の声が入っていること」「環境負荷が少ない、もしくはないもの」「オリジナリティの高いもの」の3点。たとえば木材ではアンティーク品や流木、半塗装済品を扱うなど、モノづくりの想像力をかき立てる品揃えと売場づくりをめざしている。

 クラフトスタイルでは来店客向けに「tukuriba 木工検定」を毎月実施。木工の基礎を学ぶ3級から、講師認定資格まで、実技に特化したカリキュラムで、木工の技術を身につけることができる。

 また拡大するDIYニーズに合わせ、16年よりホームセンターの従業員等を対象とした店舗向けの「tukuriba研修」も実施。同研修ではDIY工具技術の習得からワークショップ講師の育成まで、現場で求められる専門知識やスキル、ノウハウを習得できる。また、tukuribaの思想やビジョンの共有ができる企業に対し特約店制度を結び、ワークショップのメニューやノウハウの提供も行っている。

 「自身作をつくろう」をテーマに、DIY文化を発信するクラフトスタイルでは同店を通じ、DIYによる新たな幸せの価値を提案し、社会に貢献していきたいとしている。

 

店舗概要
店舗名 tukuriba二子玉川店
住所 東京都世田谷区瀬田2-32-14
玉川髙島屋S・C
ガーデンアイランド1F
営業時間 10:00~20:00

 

売場でDIYのファンづくりに役立つ

DIYアドバイザー

時代の追い風を受け期待が高まる

 日本DIY協会が認定する「DIYアドバイザー」は住まいの手入れや補修、改善等を自らの手で行い、快適な生活空間を創造したいと願う生活者に向けてDIYの指導・相談を行うプロフェッショナルだ。人々の住環境向上への関心は年々高まっており、生活者のニーズに応え、さまざまな商品が開発されてきた。また、DIYの方法や作業条件、住環境も変化してきたことから、DI Yアドバイザーへの期待と要望はさらに高まっている。

 1983~2018年までのDIYアドバイザー資格試験の合格登録者数は2万930名に上る。同協会では、資格取得後のフォローとしてメールマガジンやWebサイトで情報の提供を行い、アドバイザーとしての資質の向上を促進している。

 DIYブームを受け、ものづくりへの喜びがあらためて見直されている今、それらをサポートするDIYアドバイザーのさらなる活躍が期待される。

資格取得を推奨するHC本社の取り組み

エンチョー 取締役人事部長 貫名 信行氏

エンチョー 取締役人事部長 貫名 信行氏

 エンチョーでは社員、準社員、パートタイマーを対象に受験料および合格時の登録料の全額補助、本社での試験対策研修時と試験当日の会場までの交通費を補助し、毎年25~30名が受験しています。とくに社員については、新入社員を除くほぼすべての社員が資格を取得。合格に向けたサポートとして「学科試験対策研修」「実技試験対策研修」も実施しています。接客・販売を通じて、お客さまの『夢をカタチに』するお手伝いをしたい、『住まいにかかわる「困った」』を解決したいという理念のもと、今後もDIYアドバイザーの取得を推進していきます。

DIYアドバイザー資格取得者の声

カインズ 茂原店 大羽澤 知美氏

カインズ 茂原店 大羽澤 知美氏

はじめはレジアルバイトとして勤務していましたが、DIY・資材ラインマネジャーから声をかけていただき、DIY・資材ラインに転向しパートタイマーに昇格。社内でのさまざまな勉強会に参加する内に、さらに知識を深め店舗に貢献したいという思いから受験を決めました。先輩方のアドバイスも参考にしながら過去問を繰り返し勉強し、2017年に合格、18年1月に認定を受けました。担当する塗料・接着剤・網戸、壁紙カテゴリーの商品説明や、ワークショップ開催時の電動工具の安全な使い方など、資格取得で学んだ知識を生かして接客できることが喜びです。