アクシアル リテイリング(新潟県/原和彦社長)傘下の原信(同)は3月30日、新潟県長岡市内に原信エクスプレスマーケット旭岡店をオープンした。コンセプトに忠実に沿った1号店と比べ、2号店はコンセプトを実現しながらも、多くの修正を加え、より普段の食を購入する場として買いやすい店づくりを実現している。
1号店と標準店舗の“間”
バランスの取れた売場展開
エクスプレスマーケットは、昨年3月にオープンした城岡店が1号店。原信の標準店舗である売場面積600〜700坪前後で食提案を強化した「ニューコンセプト2+」では出店できない、より小さな商圏の空白を埋めるために開発された小型店フォーマットである。1号店の城岡店は売場面積約550坪だったが、2号店となる旭岡店はさらにコンパクトな約470坪の売場面積を持つ。
旭岡店は長岡駅より南へ直線距離にして約2.5km離れた、新興住宅地の「旭岡」エリアに位置する。競合店はなく、自社の宮内店と花園店がそれぞれ約600m、900mの至近距離にある。オープンモール型ショッピングセンターのリップス旭岡の核テナントとしての出店。同店のほか、しまむらやウエルシア、テックランドなどで商業施設を構成する。
原信の標準店舗は、約20億円の年商を想定するフォーマットだ。一方、エクスプレスマーケットはそれよりも小さい15億円未満で成立する。旭岡店の場合は、12〜13億円が年商目標となっている。
品揃えは標準店舗より3〜4割少ない1万500SKU。全体的に商品を絞り込んでいるが、総菜など購入頻度の高い商品は、売場の尺数こそコンパクトだが、ほぼ既存店に近い品揃えを実現している。日用雑貨などは城岡店よりもさらにコンパクトな品揃えにしている。
エクスプレスマーケットは商品を絞り込んだ分、競争力を確保するために標準店舗と比べて5%ほど価格を安く設定する。旭岡店でも店内に「パッとプライス」という黄色のPOPを目立たせ、低価格アピールを行なっている。
ドミナントとロジスティクスを活用した“ならでは”の強み
低価格の原資となるのが、オペレーションコストの低減だ。バックルームをできるだけ最小化して、プロセスセンター比率を高める。例えば精肉では、牛肉やレディトゥクック商材などはインストアで、豚肉や鶏肉の多くはプロセスセンターから仕入れる。精肉のPC比率は、標準店舗は35%だが、旭岡店は60%まで引き上げた。
このほか、近隣店舗から供給を受ける商品もある。例えばベーカリーは花園店、魚総菜の「魚菜屋」商品は宮内店から、センターの帰り便などを活用して運ばれてくる。このように「ドミナントとロジスティクスを活用した展開は、当社ならではの強み」と原和彦社長は胸を張る。
売場作りは、1号店の城岡店と原信標準店舗の中間といった印象。1号店では「お客にとって”パッと選べる価格と品質」というコンセプトに忠実に沿って作り込んだため、商品を大きく絞り込み、1品あたりのフェースもある程度確保していた。そのため、お客が望む商品がなかったり、売場が間延びする箇所も見られたという。そこで、旭岡店では、オープン当初の城岡店と比べると品揃えを充実させた。例えば青果では冷凍ケースの尺数を半分に、平台を3/5程度に縮めたにも関わらず、品揃えを増やしている。なお、旭岡店を開発するにあたり、城岡店の品揃えも順次拡充を進めている。
フロアレイアウトは、概ね1号店を踏襲している。売場トップは総菜と青果によるダブルコンコースで始まるとともに、総菜の隣にベーカリーとカフェを配置。正面突き当りに鮮魚、その隣が精肉というオーソドックスな展開である。
売場トップに配置した総菜は、標準店舗と比べると寿司や魚菜屋などコーナーごとのスペースは小さいが、欠落する商品群はない。“野菜で健康になっていただく”という方針のもと、新たに「野菜たっぷり」のシールを貼った「若鶏ムネ肉あんかけ野菜添え」や「チキンと根菜のグリル」といった商品を投入していた。
1号店に続き、2号店でも店長を務める清水淳氏は「スーパーマーケットとしてこれから求められるニーズに対応しながら、“パッと買える店づくり”を試行錯誤していきたい」と語る。原社長は現時点では、エクスプレスマーケット業態の次の出店は決まっていないと言うが、一つのフォーマットへと昇華させたという点で一定の手ごたえを感じているのではないだろうか。エクスプレスマーケットの、次なる新店が待たれるところだ。
店舗概要
住所 新潟県長岡市旭岡1丁目61
電話 0258-33-1144
アクセス 長岡駅より車で10分
オープン日 2019年3月30日
店長 清水淳
営業時間 9:00〜22:00
店舗面積 1561㎡
駐車台数 340台(商業施設全体)
アイテム数 1万500SKU