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丸魚が七変化!? ベイシア新業態「Foods Park」の鮮度を”創り出す”商品づくりの妙

ベイシア(群馬県/相木孝仁社長)は20221118日、栃木県大田原市に「ベイシア Foods Park 大田原店」(以下、大田原店)をプレオープンした(グランドオープンは1123日)。同店は、ベイシアの新業態「Foods Park」の第1号店だ。その戦略やいかに――。

ベイシア Foods Park 大田原店

「鮮度」への期待とコロナ禍の変化を反映

 ベイシアはこれまで、「ベイシアスーパーセンター(SuC)」を中心に、「ベイシアスーパーマーケット」「ベイシアフードセンター」「ベイシアマート」の4業態を展開してきた。Foods Parkはこれらに続くベイシア5つ目のフォーマットとなる。

 ベイシアはなぜ新業態の開発に取り組んだのか。Foods Park開発の背景の1つが、お客の「鮮度」に対する期待の高まりだ。209月の消費者調査によると、お客はベイシアに対して「新鮮さ」を求めていることがわかったという。

 加えて、コロナ禍では密を避けるためにショートタイムショッピングをする傾向にあるほか、簡便志向も高まった。こうした背景から、生鮮食品の仕入れ方法の見直しや売場の適正化、総菜や冷凍食品を中心とする簡便志向への対応など、さまざまな取り組みを結集させた食品強化型のフォーマットがFoods Parkだ。

壁面すべてが地場野菜

 大田原店の売場面積は3307㎡。衣食住を総合的に取り扱う50001万㎡のSuC業態と比較すると、食品に特化したFoods Parkの売場面積は小さくなったが、それでも一般的な食品スーパー(SM)の大型店の規模だ。

 Foods Parkは、「採れたて」「切りたて」「出来立て」「つきたて」「揚げたて」など鮮度にこだわった品揃えや売場づくりをしているのが大きな特徴である。

青果売場の壁面はすべて地場野菜で構成されている

 まず青果売場を見ると、「下野(しもつけ)のご当地野菜」と題して、栃木県産の生産者から仕入れた地場野菜を展開。注目したいのがその規模で、大田原店では壁面で展開する野菜すべてが栃木県産となっている。今や地場野菜を取り扱うSMは珍しくないが、多くのSMではコーナーの一角で小さく展開している場合が大半だ。「生産者から直接仕入れることで鮮度を保てるほか、直取引のため生産者のメリットも大きい」(広報担当者)という。

一頭買いしているベイシアのブランド牛「とろ牛」

 精肉売場では、自社開発のブランド牛「とろ牛」を初導入。肉質4等級の牛を一頭買いすることで、切り落としやステーキ肉、ランプなどの希少部位までさまざまな部位の商品を展開する。また、これら牛肉は店内加工で鮮度を追求するぶん、豚肉や鶏肉はプロセスセンターを活用するなど、メリハリをつけたオペレーションを行っている。

丸魚を時間経過とともに加工

 鮮魚売場では、豊洲市場から毎日直送した丸魚が目玉商品となっている。ここで目に留まるのが、「丸魚七変化」というインパクトのあるPOPだ。時間とともに鮮度が落ちていく丸魚を適宜調理し、刺身や唐揚げ、煮付け、フライ、焼き魚、天ぷら、干物などに加工することで、時間帯によって売場を変化させていく。「かたちを変えながら鮮度・おいしさを創り出し、食品ロス対策にも貢献したい」(広報担当者)という。

鮮魚売場では、毎日豊洲市場から直送した丸魚を展開する
丸魚七変化の例

 そのほか総菜売場では、ベイシア最大の約7mの規模で約30種類のフライのバラ売りを実施するほか、セルフサービスのカレーや「ギガ盛り」の焼きそばやナポリタンなど、約5年ぶりに販売を再開した商品もみられる。

 Foods Parkのコンセプトは「食のテーマパーク」。取り扱い商品がおいしいのはもちろんのこと、買物自体を楽しんでもらいながら、現代の食に対する多様なニーズに応えることをめざしている。多店舗化も視野に入れているが、当面は大田原店で試行錯誤を繰り返していくとのことだ。

 ベイシアが本拠とする群馬県では、プライベートブランドに大きな強みを持つツルヤ(長野県/掛川健三社長)が進出するなど、競争が激化している。Foods Parkを確立し、主力フォーマットとして育て上げることができれば、今後のベイシアが競争を勝ち抜く大きな武器となるだろう。