ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東京都/藤田元宏社長)傘下の食品スーパー(SM)マルエツ(同/古瀬良多社長)は2022年9月8日、東京都板橋区に「マルエツ板橋南町店」(以下、板橋南町店)をオープンした。顧客の若返りをめざし、若年層の関心を惹く商品を多く取り扱っているのが同店の特徴の1つだ。本記事では、板橋南町店の施策の中から、若年層集客に向けた商品にフォーカスして解説する。
韓国食材を各所で展開
板橋南町店は、東京メトロ有楽町線・副都心線「要町」駅から北東700m、山手通り沿いに位置する。約2年半前に建物の老朽化などの理由により閉店した「マルエツ池袋店」の跡地への出店だ。売場面積は1319㎡で、旧店の約1.5倍に拡大した。テナントにはドラッグストアとクリーニング店が入居する。
同店が商品政策の軸として力を入れるのが健康提案と若年層の集客だ。このうち若年層の集客に注力する背景として、古瀬社長は「全店的な課題として顧客の高齢化が進んでいる。とくにZ世代はマルエツに買物に来たことがない方がたくさんいらっしゃる」と危機感を露わにする。板橋南町店では、トレンドをとらえた商品やSNS映えする商品などを各所で展開し、若年層が来店するきっかけづくりに取り組む。
加工食品や日配品、冷凍食品で力を入れているのが韓国食品だ。板橋南町店では、若者を中心に世界的な流行となっている韓国食材を各売場で取り扱う。精肉売場手前の平台では、キムチやサムゲタン、スンドゥブチゲなどの韓国料理や、現地メーカーのドリンクなどチルド商品を大きくコーナー化。菓子売場では、韓国のスナックやチョコレート、マシュマロなどを品揃えする。古瀬社長は「『まさかマルエツにこんなものが』と思われるものを導入した」と話す。
菓子売場のエンドでは、若者に人気が高いグミを展開する。既存店で一定の成果が出たことから、板橋南町店でも導入した。
見た目とおいしさを両立したパフェ型寿司
総菜やベーカリーでもつい目を向けてしまうような商品が多くみられた。総菜売場では、寿司をパフェに見立て、ミニトマトやモッツァレラチーズ、生ハムなどを盛り付けた「寿司ぱふぇ」や、野菜と4種の肉を同時に楽しめる「野菜と一緒に食べる4種の肉寿司盛合せ」など、見た目とおいしさの両方にこだわった商品を展開する。
鮮魚部門が製造する寿司を展開する「魚悦」コーナーでは、寿司をショートケーキやホールケーキに見立てた「ケーキ寿司」を販売する。
さつまいもスイーツで旬を訴求
ベーカリーでは、マルゲリータなどの定番メニューだけでなく、「クリームブリュレ風ピッツァ」「シナモンアップルピッツァ」といったスイーツピッツァを取り扱う。
また、さつまいもを使ったスイーツとして、ベーカリー売場では「さつまいもとりんごのタルト」、青果売場では「おいもパフェ」「焼き芋カスタードブリュレ風」などを展開し、旬を訴求する。
古瀬社長は「こういった商品をきっかけに若い世代に来店いただき、オンラインデリバリーをはじめとするマルエツのサービスを知っていただきたい」と話す。店舗周辺の年齢別人口構成比は、15~44歳が49.8%と若年層の比率が高く、板橋区のほかのエリアと比較しても9.1ポイント高い。板橋南町店での取り組みは、マルエツが顧客の若返りをめざすうえで1つの試金石となっているようだ。