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菓子市場、物価高で食品全般が厳しいなか堅調も、カテゴリーごとには明暗

物価高による節約意識はみられるが、2024年の菓子市場は堅調に推移した。キャンディやビスケット、米菓、スナックは金額・数量PIともに微増もしくは横ばいとなったが、チョコレートとガムは数量で前年割れとなり、カテゴリーによって明暗を分ける結果となった。

ビスケットは大袋の好調に加え、新商品が売上拡大に貢献

 KSP-POSデータの菓子の期間通算(2024年1月~12月)の金額PIは、10万2023円で対前年同期比3.2%増、数量PIは609.95で同1.5%減。原料高騰により価格改定が行われ、数量では前年割れとなったが、単価上昇がそれをカバーするかたちとなった。

物価高による節約意識はみられるが、2024年の菓子市場は堅調に推移した(i-stock/jenifoto)
 カテゴリー別にみると、チョコレートの期間通算の金額PIは1万4048円で同2.1%増、数量PIは69.56で同5.3%減。チョコレートの主原料のカカオ豆が高騰したことで、各社では値上げもしくは内容量を減らすなどの対策が行われた。とくに値ごろ感のあるチョコレートとして人気の板チョコレートは、急激な価格上昇により割高感がでたため、買い控えが起きているようだ。

 そのなかでも健康系チョコレートや付加価値を訴求したチョコレートは好調だ。ロッテの「プレミアムガーナ」シリーズは、季節にあわせたフレーバー展開が魅力の商品で、24年秋には5品を展開した。同シリーズは日常のプチ贅沢として、20~50代女性に支持されている。

 ビスケットの期間通算の金額PIは1万1530円で同3.6%増、数量PIは64.64で同0.4%増となった。ビスケットのメーンユーザーは40~50代の女性で、ロングセラーブランドが強いカテゴリー。

 昨年発売50周年を迎えた「ルマンド」をはじめ、多くのロングセラーブランドを持つブルボンでは、昨年秋に発売した「ラングレイス」の大ヒットを受け、この春は「ひとくちラングレイス」を新発売。ひとくちで食べられるため、オフィス需要など食シーンを広げる。

 不二家は、ロングセラーの「カントリーマアム」の技術を活用した「モーニングマアム」シリーズが好調だ。新しい朝食のスタイルを提案したことで、菓子売場だけでなく、健康食品・シリアル売場へと売場の拡大に成功した。

 この春の新商品としては、「ホームパイ」シリーズから「アーモンドクッキー」を新発売。パイ×クッキーのザクザク食感が楽しめる商品で、タレントを起用した新CMを投下する。

インバウンド需要の回復で、キャンディは堅調

 キャンディの期間通算の金額PIは5859円で対前年同期比6.4%増、数量PIは31.50で同0.2%減。インバウンド需要の回復が市場拡大につながった。

 今年で発売50周年を迎える森永製菓の「ハイチュウ」は、アニバーサリーイヤーを記念して、3つの味が楽しめる「ハイチュウ〈王道ミックス〉」を新発売。今年は年間を通して「ハイチュウ」の露出を図り、新たなファン育成を行っていく。

 米菓の期間通算の金額PIは1万0738円で同2.4%増、数量PIは63.66で同0.5%減となった。50代以上がメーンユーザーの米菓市場では、次の消費を担う層の開拓が課題となっている。

 ブルボンでは、ノンフライでじっくり焼き上げたカリカリ食感の薄焼き米菓「コメノチップス」を新発売。若年層に向けて訴求するほか、おつまみ需要も取り込んでいく。

 ガムの期間通算の金額PIは、1577円で同0.6%減、数量PIは9.31で同9.3%減、金額・数量ともに前年割れ。ロッテでは噛むことの健康効果やキシリトールという成分の訴求に注力し、需要を取り込んでいる。

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