ごはんのお供として長年中高年層に支えられてきた漬物・キムチのカテゴリーだが、今後市場を拡大するには炒め物に混ぜる、麺類のトッピングで使用するといった料理素材としての魅力を打ち出し若年層に訴求することもポイントとなる。
内食機会の減少から前年に対し微減で推移
KSP-POSデータによると、2024年1月から12月の漬物カテゴリー全体の期間通算金額PIは対前年同期比1.5%減の2万1073円、数量PIは同2.9%減の98.7となった【図表】(次ページ)。
月別の金額PIの推移を見ると24年3月を除き微減で推移しており、アフターコロナで内食機会が減ったことや、米の値上がりなども影響していると推察される。
サブカテゴリーごとの金額PIを見ると、「たくわん」「その他漬物」は前年に対し微増で着地したものの、「浅漬け」「酢漬け・らっきょう漬け」「しょうゆ漬け」「梅干し」は前年割れとなっており、カテゴリー全体がダウントレンドとなっていることがわかる。
漬物カテゴリーで大きなウエートを占める「キムチ」カテゴリーの期間通算金額PIは同1.8%減の6100円、数量PIは同2.3%減の26.5となった。月別の金額PIの推移を見ると、漬物全体同様、こちらも3月、12月を除いて前年割れが続いている。
食品需給研究センターの「食品製造業の生産動向調査」によると、23年の漬物の生産量は対前年比2.3%減の80万1963トンと17年以来の減少となった。
サブカテゴリー別で見ると、「らっきょう漬け」(対前期比11.2%増)や「梅干・梅漬」(同6.6%増)、「たくあん漬け」(同0.8%増)、「キムチ」(同3.0%増)は前年を上回ったものの、その他のカテゴリーは前年を割り込んでおり、とくに「しょうが漬け」や「野菜刻み漬け」は10%以上の大幅減となっている。
旬野菜の商品や限定品で季節感のある売場づくりへ
現在、中高年層のユーザーが多くを占める漬物類だが、今後、カテゴリー全体を再活性化させていくためには、ごはんのお供だけでなくおにぎりやチャーハン、炒め物の具材など料理素材としての魅力も伝え、手に取るきっかけを増やすことがポイントとなる。
たとえばマルハチの「山形のだし」は冷ややっこやうどんのトッピングとしても人気があり、豆腐や麺類など漬物以外の売場で展開している店舗も多い。
とくに食べきりサイズの個食パックは少人数世帯でも手に取りやすく幅広い年代に支持されている。食欲がない時もさっぱりおいしく食べられることから、夏場のメニュー提案にも最適だ。
東海漬物ではこくうまシリーズのラインアップとして「キャベツ・大豆もやしのシャキッとこくうま」を今春新発売。秋本食品からは料理素材としても使いやすい「発酵の旨味 乳酸発酵白菜漬」を展開する。
美山は「いちおしキムチ」シリーズのラインアップに「いちおしプレミアム あま辛」「いちおしプレミアム こく辛」を加えた。
漬物は他カテゴリーに比べてロングセラーブランドが多く定番の入れ替えが少ないものの、野菜の旬に合わせたエクステンションや期間限定品もある。
ごはんのおかずとしての定番商品のラインアップに加え、季節商品の紹介やアレンジレシピなど、幅広い提案を行うことで売場の鮮度感を打ち出していきたい。