売れ残るvs.売り逃す、小売業が抱える「究極の2択」に答えを出す、「ザ・ゴール」シリーズ最新作「在庫管理の魔術」(ダイヤモンド社、エリヤフ・ゴールドラット著)の冒頭部分を特別公開する。
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〝半額!〟
巨大な赤い看板を見つめ、自分の夢がどこでどう間違った方向に行ってしまったのか、ポール・ホワイトは考え込んでいた。もう、うんざりだ。これ以上、やっていられないと思いながら、挽きたてのコーヒーをもう一口すすった。そして深く息を吸い込み、ブルーのブレザージャケットの身なりを整え、ハンナズショップ・ボカラトン店へ入っていった。
店内のあちこちに、割引セールの赤いポスターやPOPが貼られている。店長のポールは、今回のセールでそれなりの売上げを期待していた。だが、レジの列はいつもとさほど変わらず、目玉の割引商品もまだ高く積まれたままだ。値段を下げただけでは、顧客の購買意欲をそそるには至らないらしい。ポールは白髪交じりの頭に手櫛を入れ、肩をすぼめた。他に、何をすればよかったというのだろうか。
この店の売上げが伸びないのは、いまに始まったことではない。しかし今朝、届いたレポートでは、ボカ店はこの地域のチェーン一〇店舗のうち、利益率で八位にまでランクを落としていた。八位にまで落ちたのは初めてのことだった。
そうした重苦しい気持ちを拭い去ろうと、
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