健康志向や環境配慮への意識の高まりにより、プラントベースフード市場は世界で成長を続けており、日本でも関心が高まっている。各社ではプラントベースフードの商品を次々に発売しており、今後の拡大が期待されている。
大手乳業メーカーが市場に参入プラントベースミルク市場は活性化
TPCマーケティングリサーチによると、世界のプラントベースフード市場は、2023年で3兆2175億円、対前年比約2.5%増となった【図表】。この10年間で市場は約2.5倍にまで拡大している。欧州では肥満の深刻化や環境問題などの社会課題が生活者に浸透していることから、プラントベースフードに対するニーズが高くなっている。カテゴリー別ではプラントベースミルクが全体の約5割を占め、プラントベースミート、プラントベースヨーグルトが続く。
プラントベースミルクはアーモンドミルクや豆乳、オーツミルクなどさまざまな素材をベースとした商品が発売されており、手軽に植物由来のものが摂れることや、シリアルや料理に活用できる点が人気を集めている。日本でもプラントベースミルクの商品は次々に発売されており、今年の春には大手乳業メーカー3社が揃って市場に参入したことで話題となった。
明治では、全粒オーツ麦をまるごと使用した「明治まるごとオーツ オーツミルク」を新発売。全粒オーツ麦由来の食物繊維である「全粒穀物繊維」と、それに含まれる水溶性食物繊維の「β-グルカン」を含有しているのが特徴だ。雪印メグミルクでは、低糖質でたんぱく質や食物繊維が豊富なえんどう豆を使用した「Plant Label Pea Drink」と、オーツ麦を使用した「同 Oat Drink」を発売した。また、森永乳業では、オーツ麦、ココナッツ、ひよこ豆、大豆、アーモンドの5種の植物素材をブレンドした「Plants&Me」を新発売。5種類の植物素材をブレンドしたことで、さまざまな栄養素を摂取することができる。
この秋も各社から新商品が続々
プラントベースフードは日本でも注目度が高く、次々に新商品が登場している。新たな食の選択肢を提案するキユーピーの「GREEN KEWPIE」では、今年春に植物性原材料を使用したパスタソース2品を発売。秋には調味料開発で培った油を活用した技術を応用することで、たらこのような風味の「植物生まれのパスタソース たらこ風」を新発売。あえるタイプの人気フレーバー「たらこ」を植物性原材料で表現した商品だ。
マルコメでは「ダイズラボ」ブランドから多くのトップアスリートの食事をサポートする加藤超也シェフ監修「超万能だいず肉みそ」を新発売。国産大豆のお肉、生みそ糀美人、糀甘酒、糀みつなど、こだわりの原料を使用。しょうがとにんにくをきかせた少しピリ辛な味つけで、さまざまな料理に使える万能肉みそだ。
一方、雪印メグミルクでは、「Plant Label」シリーズとして、この秋にえんどう豆由来のおつまみを新発売。えんどう豆の素材を感じられる風味とほくほくした食感で、おつまみにぴったりな〈しお味〉と〈スモーク味〉を発売した。また、もちもちした食感が楽しめる「米粉由来のもちもち食感シュレッド」を新発売。米粉(そのうち、もち粉を6割使用)とでんぷんの配合により、加熱するともちもちしながらも、とろりとした食感が楽しめるプラントベースフード。乳製品メーカーならではのチーズ開発の知見を生かした風味調整を行い、料理に適したチーズの風味に仕上げている。
健康意識の高まりや食の多様化により、プラントベースフードを選ぶユーザーが今後さらに増えることが予想されている。