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漬物・キムチ市場、中高年層が買い支えるカテゴリーメニュー提案で若年層にもアピール

コロナ禍の内食需要に伴い伸長した漬物・キムチカテゴリーだが、今期は微減に転じている。売場を再活性化するためにはご飯のお供としてだけでなく、料理に混ぜる、トッピングで使用するといったメニュー提案で若年層に訴求することも重要となる。

生産量は数年ぶりに停滞、たくあん・梅干しは微増で推移

 KSP-POSデータによると、2023年8月から24年7月の漬物カテゴリー全体の期間通算金額PIは前年同期比0.8%減の2万1003円、数量PIは3.3%減の98.7と、金額・数量ともに前年に対し微減という結果になった【図表】

 サブカテゴリーごとの金額PIを見ていくと、「浅漬け」「酢漬け・らっきょう漬け」「しょうゆ漬け」は前年割れとなったものの、「たくあん」「梅干し」「その他漬物」は前年並みから微増で推移。中でも「その他漬物」は前期比5%以上のプラス、数量PIでも前年並みを維持している。

微減に転じている漬物・キムチカテゴリーを再活性化するために、メニュー提案で若年層に訴求することも重要だ(i-stock/Yuuji)

 一方、売上構成比の高い「キムチ」の期間通算金額PIは同0.9%減の6099円、数量PIは同1.9%減の26.6と、金額・数量ともに微減で着地した。

 また、食品需給研究センターの「食品製造業の生産動向調査」によると、2023年の漬物の生産量は対前年比2.3%減の80万1963トンと2017年以来の減少となった。

 サブカテゴリー別で見ると、「らっきょう漬け」(対前期比11.2%増)や「梅干し・梅漬」(同6.6%増)、「たくあん」(同0.8%増)、「キムチ」(同3.0%増)は前年を上回ったものの、その他のカテゴリーはすべて前年を割り込んでおり、とくに「しょうが漬け」や「野菜刻み漬け」は10%以上の大幅減となっている。

メニュー提案や季節感の演出で若年層の興味をひく売場へ

 漬物というとご飯のお供というイメージが強いが、おにぎりやチャーハン、炒めものの具材など、料理素材としての魅力もある。とくにキムチは白菜だけでなく、キュウリを使った「オイキムチ」、大根を使った「カクテキ」などバリエーションもあり、キムチ鍋や肉野菜炒めなど汎用性の高さで若年層にも支持されている。

 東海漬物は今秋の新商品として、辛さを求めるユーザーに訴求しやすい個食タイプの「プチ辛口キムチ」を発売。「こくうま」「におわなキムチ」に続くプチサイズのキムチとして同ブランドを育成していく考えだ。

 また、中高年を中心に塩分を気にする消費者も増えているが、25%減塩でやさしい味付けのマルハチ「やわらか菜」のように、減塩タイプの商品も出ており、POPなどで気付きを与えることも有効だろう。

 24年6月の食品衛生法の改正により、道の駅や直売所などで販売されていた手づくりの漬物が店頭から激減している。おいしい漬物を求めて食品スーパーの店頭に並ぶナショナルブランドの漬物に興味を持つ消費者も出てくるだろう。

 漬物は他のカテゴリーに比べてロングセラーブランドが多く商品の入れ替えは少ないが、旬の野菜を使った商品や期間限定フレーバーも一部出ており、季節感を演出できる部分もある。ご飯のおかずとしての定番商品のラインナップに加え、季節商品の紹介やアレンジレシピなど多彩な提案を行うことで若年層を含めた新規消費者の興味をひき、売場を盛り上げていきたいところだ。