メニュー

企画・調達・開発・設計・生産を自前で管理する西友の総菜SPA戦略

「総菜SPA」超進化

食品スーパー(SM)大手の西友(東京都/大久保恒夫社長)は近年、食のSPA(製造小売)化を志向しながら「商品力」と「販売力」を磨き上げることで、競争力向上を図っている。総菜についても、川上の原料調達までサプライチェーンをさかのぼり、そこから商品開発・製造・販売までの各領域の専門チームが相互連携して、魅力ある商品を提供。足下では部門間連携も進むほか、製造能力の増強にも動き始めている。

商品力強化のためSPAモデルに回帰

 西友は2025年度までの中期経営計画で「業界ナンバーワンの食品スーパーになる」という野心的な目標を掲げている。その実現に向け、「商品力」と「販売力」を二本柱として価値を創造し、利益を稼ぎ、これを原資として基盤となる人材、IT・デジタル、店舗に対する積極的投資を実行。その結果として商品力と販売力をさらに高めるという“正のスパイラル”によって、事業成長を図るという戦略を推進している。

西友はSPA化を志向しながら「商品力」「販売力」の向上を図ることで、競争力アップをめざしている

 このうち商品力の強化に向けては近年、食品全体でSPA化を志向してきた。原料調達や生産プロセスにまで踏み込み、高鮮度・高品質な商品をローコストで開発し、西友でしか手に入らないようなオリジナル商品の品揃えを拡充。もう一方の販売力強化の取り組みと連動させ、売場で徹底的に売り込むことで、客単価の増加や来店頻度の向上につなげようとしている。

 この食のSPA戦略においては、とりわけ総菜の開発に注力する。今後も中食市場の拡大が見込まれるなか、総菜は商品の独自性を高めることで競争優位性を創出しやすい部門と見ているためだ。

商品物流本部惣菜部部長の櫻田達也氏

 もっとも、本特集で取り上げた企業をはじめ、総菜のSPA化を推進することで差別化を図ろうとする動きは食品小売業界において加速する一方である。大手を中心に、多額の資金を投じてプロセスセンターやセントラルキッチン(CK)など製造機能を自前で構築したり、既存の製造工場を買収したりして、自社の固定資産として運用する企業も少なくない。西友で商品物流本部惣菜部部長を務める櫻田達也氏は、「調達から販売までを一気通貫で自社で手掛け、独自性の高い商品をいかに総菜売場で展開できているか否かが、競争を左右するまでになっている」と分析する。

 その点、西友は創業期からいち早く総菜のSPA化に

・・・この記事は有料会員向けです。
続きをご覧の方はこちらのリンクからログインの上閲覧ください。