約50年前にスーパーマーケット(SM)化した当時から、総菜の自社製造に取り組んできた成城石井(神奈川県/後藤勝基社長)。他社に先駆けてセントラルキッチン(CK)を開設し、作業の効率性や品質の均一性を高めながら、エスニックなど総菜の“定番”にとどまらない多様なメニューを開発、展開してきた。総菜SPA化のパイオニア的存在である同社は今後、CKの製造能力をさらに強化しながら、よりオリジナリティの高い商品展開を図る。
エキナカ出店を機にCKでの総菜製造を開始
成城石井が総菜の販売を始めたのは1976年。祖業の食料品店からSMへ業態を転換したタイミングだ。当時はオイルショック後で女性の社会進出が進んでいたころ。家事に仕事にと日々忙殺される女性が増えるなか、料理の手間を少しでも減らそうと、1号店「成城店」(東京都世田谷区)のバックヤードで総菜を手づくりし、販売を始めた。その味のよさが評判を呼び、徐々に成城石井の「キラーコンテンツ」に成長していった。
同社がさらに総菜に力を入れ始めるきっかけとなったのが97年、JR「恵比寿」駅直結の商業施設「アトレ恵比寿」(東京都渋谷区)への出店だ。エキナカ立地ということもあり、路面店に比べてビジネスパーソンなど時間に余裕のないお客が多いため、総菜のニーズが高まると予想。ただ、店舗面積が狭く、店内に調理スペースを設けるのは難しい。そうしたジレンマを解消すべく、前年の96年に開設したのが、「町田第1CK」(東京都町田市)である。
同CKの稼働によって製造能力が飛躍的に向上したのに加え、中食ニーズの高まりも手伝って、総菜の販売規模は年々拡大。現在、成城石井における総菜の売上高構成比は約25%に上る。また、店舗網を拡大するなかで、製造能力をより強化するためCKの増設も実施。現在、1カ所目の「町田第1CK」に加え、「町田第2CK」(2004年開設)、神奈川県大和市の「大和第3CK」(22年開設)の計3カ所が稼働している。これらCKでの製造アイテムの割合は、総菜およびパンを合わせて5割ほどになるという。
調達した素材を起点に部門を超えて商品を開発
成城石井の総菜で特徴的なのは、他のSMとは一線を画した
・・・この記事は有料会員向けです。続きをご覧の方はこちらのリンクからログインの上閲覧ください。