和歌山県和歌山市郊外がにわかに激戦の様相を呈している。昨年10月から11月にかけてトライアルカンパニー(福岡県/石橋亮太社長)、万代(大阪府/阿部秀行社長)が相次いで県内1号店を出店。オークワ(和歌山県/大桑弘嗣社長)や廣岡・エバグリーン廣甚(いずれも和歌山県/米原まき社長、経営母体は同一)といった地場の既存勢力が迎え打つ構図となっている。今回は生鮮強化と価格対応に強みを持つ点で共通する主要3店舗を訪れ、生鮮・総菜を軸に競争の最前線を調査した。
(調査日2024年2月18~19日)※特記なき場合価格は税抜価格
郊外ロードサイドで食品めぐる競争激化
今回訪れたのは、和歌山市から東へ伸びる国道24号線沿い、同市から隣接する岩出市にかけてのエリアだ。調査した店舗は昨年11月に開業した「万代紀伊川辺店」、同10月開業の「スーパーセンタートライアル岩出店」(以下、トライアル岩出店)、廣岡・エバグリーン廣甚の「NEX岩出中迫店」の計3店舗である。万代紀伊川辺店が最東端で唯一和歌山市内に位置し、そこから西へ約3.8㎞離れてトライアル岩出店、さらに約900m東に進むとNEX岩出中迫店がある。
調査エリアは和歌山市中心部から約8~10㎞離れており、クルマだとおよそ30分程度の道のりだ。国道24号は典型的なロードサイドの様相を呈しており、その周辺に住宅地が広がっている。地場チェーンを中心に複数の食品スーパー(SM)がしのぎを削っていたところ、トライアルや万代といった有力勢が相次いで進出し、競争環境は熾烈化している。各店舗を順にみていこう。
万代紀伊川辺店
総菜を生鮮の核にした広域集客型大型店
3店舗の中で最新店である万代紀伊川辺店の売場面積は約620坪で、同社の中でもおそらく最大級の店舗である。同じく和歌山初出店のホームセンター「カインズ紀伊川辺店」と同じ建屋を共有している。
売場の核となっているのが総菜だ。以前の万代の総菜は外注依存度が高く、決め手に欠けた印象を筆者は抱いていたが、ここ2~3年で商品政策(MD)は大きく変化している。なかでも紀伊川辺店では、総菜を売場トップで青果とともにダブルコンコースのかたちで展開するという新たなチャレンジを行っている。
特筆すべきは入口付近に展開する対面量り売りの総菜コーナーだ。調査時は「大海老マヨソース」(100g158円)、「11品目のしっとり卯の花」(同228円)など約20品目を冷蔵ショーケースで販売。各商品の彩りもよく、デパ地下の総菜を彷彿させるクオリティだ。
このほか弁当は店内加工をメーンに「メンチかつ&エビフライ弁当」「ロースブタカツ&エビフライ弁当」(各598円)、「チキンカツ弁当」(398円)など値ごろ感のある価格帯で販売。「いかやき」(168円)や「だし香るとん平焼」(398円)など“大阪色”のある鉄板系メニューも提案する。
総菜に併設する
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