昨年から続く円安の影響で、食品小売業界では海外からの商品輸入・開発が難しくなっている。そんななか、コーヒーと輸入食品の専門店「カルディコーヒーファーム」を運営するキャメル珈琲(東京都/尾田信夫社長)は、グループ会社の機能を活用した海外からの輸入商品や、国内工場で製造した海外メニューの商品を手ごろな価格で提供し、人気を集めている。その強さの秘訣を調査により解説する。
好奇心をくすぐる売場づくりを体現
キャメル珈琲は商品の企画・開発・輸入・製造までを自社で手掛けるS P A(製造小売)企業だ。現在ではカフェ・レストランの運営や自社ファームでのワイン製造までも手掛ける。
設立は1977年9月、当初はコーヒー豆の焙煎と喫茶店への卸売営業を行っていた。86年、小売店舗の1号店となる下高井戸店が東京都世田谷区にオープンし、コーヒー豆や業務用パスタの販売を始める。関連会社として、96年11月には世界の食品やワインの開発・輸入・製造を行うオーバーシーズ(東京都/尾田信夫社長)が、2006年1月には、日本各地の素材・味・製法にこだわって菓子やつまみの開発を行うもへじ(東京都/尾田信夫社長)を設立している。各社ともに独自商品の開発に力を入れており、「カルディコーヒーファーム」の店頭にはキャメル珈琲、オーバーシーズ、もへじ3社のオリジナル商品が中心に並ぶ。
「カルディコーヒーファーム」は、近年は商業施設やショッピングモール内にも積極出店し、23年12月時点では、47都道府県に約500店舗を構える。
同専門店のコンセプトは「“ワクワク ドキドキ”お客様に感動の空間を演出する」。世界各国の菓子、紅茶、チーズ、スパイスなどを幅広く取り揃え、お客の好奇心がくすぐられるような売場づくりをめざす。
14年には自社のECサイトもオープンし、オンライン限定の独自商品を販売するほか、6480円(税込)以上で送料無料といった取り組みを行っている。
注意しておきたいのは、一般的な食品スーパー(SM)とは利用のされ方が異なることだ。一般的なSMの場合、主体は青果・肉・魚の生鮮3品で、お客は朝・昼・晩3食の食事の調達という明確な目的を持って来店することが多い。一方、「カルディコーヒーファーム」の場合、生ハムやチーズなど一部の商品を除き、生鮮食品の扱いはほとんどない。輸入品主体のため、扱う商品もポピュラーではないものが圧倒的に多い。そのため来店客は、趣味嗜好を楽しむためやストレス解消など、非日常の買物を目的にしていると考えられる。そんな前提を踏まえ、「カルディコーヒーファーム」の売場や商品づくりに学べる点を見ていきたい。
商品を見つけ出すワクワク感を演出!
今回、調査を行ったのは「カルディコーヒーファーム 調布パルコ店」(以下、調布パルコ店)。
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