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黒酢カテゴリー No.1 内堀醸造「臨醐山黒酢」ブランドサイト立ち上げなど情報発信を強化

2022年秋・冬 売上伸長率ランキング

内堀醸造の「臨醐山黒酢」は米の豊かな甘味と香りを封じ込めた、味わい豊かな黒酢としてこだわり派の主婦層から支持を集めている。来期はブランドサイトを立ち上げるほか、SNSを活用した情報発信にも注力し、新たな客層にアプローチする。

酢の原料となる酒造りからこだわった付加価値型の黒酢

 岐阜県加茂郡八百津町に本社を構える内堀醸造の創業は1876年。創業当初は清酢・味噌・たまりなどを製造していたが、1965年頃からは食酢の醸造を専業としている。

 同社のマインドは「酢造りは酒造りから」という言葉に表れている。この言葉は創業時より大切にしてきた考え方であり、高品質な酢を造るための酒造りを重視している。なかでも米酢については、精米からすべての工程を自社で行い、良質な米麹を造り、伝統的な多段仕込みによって健全な発酵を促している。

 酢酸発酵の工程では、酢酸菌と常に対話し発酵に最適な環境を整備。さらに、熟成を行うことでつくりたての酢特有のツンとしたカドのある酸味が少なくなり、まろやかな味に仕上がる。

 同社では定番の米酢や寿司酢をはじめ、さまざまな商品を展開しているが、とくに支持を集めているのが「臨醐山黒酢」だ。

 「臨醐山黒酢」の発売は1997年。「香りがよく、酸味の感じ方がおだやかで使いやすい米酢をつくりたい」という想いから開発をスタートした。臨醐山(りんこさん)の名は、創業の地である岐阜県加茂郡八百津町にある大仙寺の山号「臨滹山」をもとに、「滹」を醍醐味の「醐」に変えることで地元に根ざしたこだわりの酢であることを表現している。

 「臨醐山黒酢」は、低温でじっくりと時間をかけて発酵させるこだわりの製法が特長だ。同品は米酢と比べてアミノ酸が豊富に含まれており、まろやかな酸味とコク、食欲を刺激する豊かな香りは、調味料としてはもちろん、水やハチミツなどと混ぜて飲用するのにも向いている。

 メーンターゲットは、味わいや品質に価値を求める50〜60代の女性。発売当時は黒酢の規格がなく認知度も低かったが、その後の黒酢ブームも追い風となり、口コミで徐々に認知を拡大。コロナ禍以降続く健康志向もあり、今期についてはレギュラーサイズの360mlから大容量の900mlにスイッチするユーザーも増えているようだ。

手軽に試せるレシピでユーザーにアプローチ

 内堀醸造では、「臨醐山黒酢」以外にもこだわりの商品を多く手掛けている。

 「美濃有機純りんご酢」は、有機りんご果汁だけを使用して醸造した有機JAS認証商品。まじりけのない豊かな香りとおだやかな酸味、まろやかな甘味はサラダにもよく合う。ソーダ割りなど飲用にも最適で、「臨醐山黒酢」と比較して若年層のユーザーが多い。

 「純米大吟醸酢」は、自社で50%まで精米した国産米と米麹を低温で丁寧に発酵してつくった純米大吟醸酒もろみを使用した米酢。吟醸酒もろみ由来の香りのよい澄んだ風味と軽やかな酸味が楽しめる。

 「美濃特選味付ぽん酢」は、利尻昆布と枕崎製造かつお節の一番だしを使用。すだちやゆず果汁のさわやかな風味と一番だしのうま味のバランスがよく、上品な味わいとなっている。

営業企画部 内川 直之氏

 同社では、自社のウェブサイトやクックパッドにて酢製品を使ったレシピを多数紹介。また「臨醐山黒酢」については、来期ブランドサイトを立ち上げるほか、SNSでの情報発信に努めるなど、プロモーションを強化することで、配荷率の向上と新たなユーザーの獲得につなげていく考えだ。