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コロナ禍から3年、「家飲み」の現状

新型コロナウイルスの感染拡大が始まり3年が経過した。行動制限の緩和に始まり、マスク着用も個人の判断が基本となるなど徐々に以前の日常生活が戻りつつある。一方で、家庭内喫食率がテレワークの普及なども影響しコロナ禍前と比べると依然として高い水準を維持しているなかで、家庭内飲酒率も同様の傾向を示している。そこで今回は家庭の食卓を継続的に観察してきた食MAPデータから、コロナ禍で定着した食行動の一つにあげられる「家飲み」における飲用者にスポットをあて食卓傾向を探っていく。

食MAP®とは、株式会社ライフスケープマーケティングが提供するマーケティング情報システム。1998年10月から首都圏30km圏内在住の主婦世帯を対象に、食品の購買、調理、消費までをパネル形式で調査したもの。

家庭の食卓を継続的に観察してきた食MAPデータから、コロナ禍で定着した食行動の一つにあげられる「家飲み」における飲用者にスポットをあて食卓傾向を探っていく。(i-stock/liebre)

アルコールは主婦の増加が大きい

 食MAPによると2022年の家庭内飲酒率(家庭内で飲酒をした日別割合の平均値)は18.9%となり、19年の16.2%と比べると2.7ポイント高い結果であることがわかっている。22年におけるアルコールの1日1000人あたりの食卓出現回数(以下「家庭内消費Index」)を飲食者別に見ると、主人・主婦ともに19年と比べ増加した。増加率を見ると主人が19年比約110%、主婦が19年比120%となり、ボリュームは少ないものの主婦の増加が主人と比べて大きい【図表①】。特に小学生の子供がいる主婦で19年比135%、中高生の子供がいる主婦で19年比143%となり、主婦全体と比べても子育て世代の主婦の増加が大きいこともわかっている。

 背景として、コロナ禍で増加した夫婦飲みをきっかけに主婦の家庭内飲酒が定着したことが推測できるほか、これまで飲酒機会が少なかった子育て世代の主婦がテレワークの普及などで時間にゆとりができたことも影響しているのかもしれない。

主婦は炭酸割りが好き

 主人・主婦ともに増加したアルコールの種類を見ると、ウイスキー、シャンパン・スパークリングワイン、ビール、赤ワインなどだ。特に主婦のウイスキー増加率は19年比279%となり主人の111%と比べて大きいほか、シャンパン・スパークリングワインも1 9年比2 2 1%となり、主人の125%と比べて高いことがわかる。そのほかにも、主婦の焼酎は19年比151%となり、主人が減少傾向となるにもかかわらず増加している【図表②】。

 食MAPで主婦のウイスキーと焼酎の飲み方を見ると、主婦は「炭酸水」を使用したいわゆる「ハイボール」や「ソーダ割り」が増加していることもわかっている。22年における主婦の「ハイボール」の家庭内消費Indexは19年比267%、「ソーダ割り」の家庭内消費Indexは19年比133%となり、主人はいずれも19年比で減少しているにもかかわらず、主婦は増加傾向だ。

文=株式会社ライフスケープマーケティング カスタマーサクセス 倉田 悠氏

 また、主婦の増加が大きいシャンパン・スパークリングワインについても、発泡性であることから主婦は「炭酸・発泡」を好んでいることが推測できる。これまで、ウイスキーや焼酎といえば男性のイメージが強かったが、主婦は飲み方を自分好みにカスタマイズして楽しんでいるようだ。コロナ禍で定着した「主婦の家飲み」は炭酸が訴求ポイントになるだろう。

※食MAP®データにつきまして、無断転載は禁止とさせていただきます。
株式会社ライフスケープマーケティング
TEL:03-3515-7088
http://www.lifescape-m.co.jp/