感染者数の減少にはまだまだ時間がかかるものの、コロナ禍初期の行動制限は解除され、徐々に元の日常に戻りつつある昨今。しかし日配部門には、産地開発や若年層の取り込み、ロス削減などさまざまな課題がある。本稿では、ニューノーマルに向けたこれらの課題の対応策を解説する。
産地の現状をつかみ、消費者目線の商品開発を
ポストコロナ時代に突入しつつあるなか、かつて経験のないほどの値上げが続いている。為替相場や国際情勢の不安定さも相まって、なかには調達ができなくなっている商品も散見される。
和日配では、2022年秋より気温の低下もあり、単価アップのぶん売上は改善傾向にあるとバイヤーからも耳にしてきた。単価を上げた商品群もあれば、量目を減らして値ごろを演出するリニューアルの商品も見受けられたのが22年の秋から年末の出来事である。
秋の棚替えと品揃えをみると、非常に日配部門に危機感を覚えた。まったくオリジナリティがなく、単なるメーカー任せの売場になっている。多店舗展開しているチェーンなどは、カテゴリーによってはほかに大量生産できるメーカーがないからといって、品質度外視で練り物や豆腐類などをリニューアルしたり、ブランドスイッチを行ったりした店舗も多い。たとえば22年秋にはすり身の価格が上昇したため、和日配の秋冬のメーンであるおでん売場が様変わりした。レトルトのおでん商材が目立ち、単品おでんは容量の変更、あるいは品質や味の低下がみられる。これは中期的にみるとスーパーマーケット(SM)のおでんコーナーの人気がますますなくなる危機的状況といえる。
おでんに限らず、独自性のある商品開発をする際には自社の店舗の消費者動向を知ることが重要だ。とくに日配部門はペルソナを意識し、価格の安さだけで買物をしている層ばかりではないことを認識していただきたい。とくにフォーカスしたいのが「地域貢献」である。
日配部門こそ地域のサプライヤーと連携して本来のマーチャンダイジング(MD)を取り戻すべきなのだ。そのコンセプトは実にシンプルである。それは「お困りごとの解消」に徹することだ。筆者の事務所のある熊本・天草では、水産養殖場で史上2番目となる赤潮被害(約2万匹)があったが、こういった地域課題の解決に貢献している商品やSDGs(持続可能な開発目標)に対応している商品、地元の食材を使うなど地域活性化につながる商品などを問屋に丸投げしてはダメなのだ。バイヤーはぜひ産地に出向いて自分の目で見て、その実情を把握してほしい。そうして五感で感じとった体験を踏まえた産地との協業が独自性を生み出すのだ。
値段にとらわれず再現性を高める
人口減少が続くなか、これからの消費の主体となる若年層に日配売場に足を運んでもらうことも重要だ。
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