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輸入ビール市場が多彩な味わいと独自性で活況、ビール市場の再活性化に貢献!

2020年10月の酒税法改正による実質的な値下げに加え、コロナ禍での家飲み需要の拡大によって、ビール市場は好調に推移している。そうしたなか、注目を集めているのが輸入ビールだ。国内産の従来品にはない多様な味わいが若年層を中心に支持され、ビール市場の再活性化に貢献している。

酒税改正と家飲み需要で、ビール人気が復活

 ここ数年、若者のビール離れが進むなど低調が続いていたビール市場だったが、2020年10月の酒税改正による実質的な値下げによって手に取りやすくなったことから、新ジャンルや発泡酒からの流入が増加。コロナ禍での家飲み需要の拡大も追い風になって、好調に転じている。

注目を集めている輸入ビール。国内産の従来品にはない多様な味わいが若年層を中心に支持され、ビール市場の再活性化に貢献している。(i-stock/Rouzes)

 ビール人気が復活するなか、注目を集めているのがクラフトビールだ。クラフトビールとは、小規模醸造所でつくられたビールのことで、ビール職人がこだわりをもって手づくりしていることから、「手工芸品」を意味する「craft」を用いてクラフトビールと呼ばれている。嗜好の多様化が進む今、従来のビールにはない、まさにクラフトマンシップ(職人魂)を感じられるビールを飲んでみたいと考える消費者は増えている。なかでも、独自性の高い外国ブランドのビールは、これまでビールを敬遠していた若者にも支持されている。

 KSP-POSデータをみると、外国ブランドビールの期間通算(2021年11月~22年10月)の金額PIは639円で対前年同期比1.7%減。月別金額PIでは、22年6月が対前年同月比14.4%減と大幅に前年割れしたが、これは大きく跳ねた前年の反動だろう。その後は、順調に盛り返して伸長していることから、外国ブランドビールの人気はブームではなく、カテゴリーとして定着しつつあるといえそうだ。

国内産にはない
独自性の高い味わいが魅力

 外国ブランドビールの魅力は、なんといってもそのオリジナリティの高さだ。

 たとえば、パナバックが手がけるドイツ直輸入の「ヴェリタスブロイ」は、世界初0.00%までアルコールを除去しながらもプレミアムビールとしての味わいを実現。さらに、天然素材と発酵によって驚くほどの健康機能性を保持している。アルコールのように味わいながら、飲むほどに健康効果を期待できるというわけだ。昨今、心身の健康を保つために、あえてお酒を飲まない「ソバーキュリアス」と呼ばれるライフスタイルが若い世代の間で話題を集めているが、そうしたソバーキュリアンたちにも支持されるノンアルコール飲料だ。

 若者からの支持の高さでは、英国のクラフトビール界でカリスマ的存在の「ブリュードッグ」も忘れてはならない。独創的な味わいもさることながら、「PUNK(常識に逆らう)」をキーワードにしたコミュニケーションは若者の心を揺さぶり、熱烈なファンを増やしている。

 一方、三井食品が長年展開している「CHIMAY(シメイ)」シリーズは、ベルギービールの代表格として支持されており、多彩なラインアップが魅力だ。熱処理・ろ過を行わず、瓶詰の直前に新鮮な酵母を加えてつくるため、味のグラデーションを楽しめる。

 また、23年1月に発売する巨林フーズ&リカーの「グランドモルト」は、欧州産の良質な麦芽を使い、ドイツ・ハラタウ産のアロマホップを使用。世界的ビールメーカーのフランス工場でつくられるプレミアムグレードな味わいが魅力だ。

 ほかにも、多種多彩な外国ブランドビールが日本市場に登場しており、ビール市場の再活性化に一役買っている。