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大使館との提携を始めるヤオコー、イタリア産商品のラインナップ強化へ

ヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)は3月15日に記者会見を開催し、イタリア産商品の輸入を強化することを発表した。先立つ202212月、ヤオコーはイタリア大使館・貿易促進部とパートナーシップを締結しており、今回の取り組みはその一環となる。

ヤオコー、イタリア現地とのつながりを増やして商品力アップへ

ヤオコーの川野澄人社長(左)
イタリア大使館・貿易促進部のエリカ・ディ・ジョヴァンカルロ氏(右)

 ヤオコーは202212月、イタリア大使館・貿易促進部と共同で「GDO(大型流通小売組織)プロジェクト」を開始した。同プロジェクトの一環としてヤオコーは、新規商品の開発や新規サプライヤーの開拓にあたりイタリア大使館・貿易促進部のサポートを受ける。具体的には、イタリア大使館・貿易促進部がイタリアのメーカーに広く募集をかけ、その中から選別したメーカーを新規サプライヤーとしてヤオコーに紹介するといった取り組みがある。

 ヤオコーは新規サプライヤーから仕入れるイタリア産の商品を店頭で大々的に販売するほか、233月から243月までヤオコー全店で過去最大規模の「イタリアフェア」を開催するなど積極的にプロモーションしていく。「イタリアフェア」は毎月開催する以外に、年に4回の大規模な催しを行う。ほかにもヤオコー店内に設置する、料理の実演コーナー「クッキングサポート」では、イタリア料理のレシピを積極的に提案する。

「ヤオコー川越南古谷店」(埼玉県)では、「イタリアフェア」と大きく銘打ったPOPを掲げ、カットトマト缶やオリーブ、ワインなどを豊富に揃える。

 これまでも「メイド・イン・イタリー」にこだわった商品政策を続けてきたヤオコー。この度の提携開始にあたって川野澄人社長は「肩肘を張らず気楽に食事を楽しめるイタリアのスローフード文化とともに、バラエティに富んだイタリアの食材を日本のお客さまに提案したい」と述べる。

 続けて川野社長は、「商品力の向上を図るには、現地とのつながりが大切な要素になる」と語る。ヤオコーでは専任のバイヤーが海外商品を直接選定しており、その過程で優れた生産者からまた別の生産者を紹介してもらうこともあるのだという。

 たとえばヤオコーが販売する菓子パンの「パネトーネ」は、そうした現地の“コネ”を生かした商品の1つだ。川野社長はパネトーネの開発に至るまでのエピソードを説明する。

 「ある時、当社のバイヤーが現地で懇意にしているワイナリー(ワイン生産者)から差し出されたパンを食べると、そのおいしさに驚いたそうだ。あとから、そのパンは世界大会の出場経験があるパン職人がつくったものだとわかり、バイヤーはワイナリーからそのパン職人を紹介してもらった。その職人のもとで修行を積んだ当社の社員が開発したのがパネトーネという商品だ」(川野社長)

 ヤオコーのイタリア産商品のラインナップはすでに100アイテムを超えており、その数は17年比で約5倍にものぼる。ヤオコーは、イタリア産商品の取扱い数を今年度中に150アイテムまで増やしたいとする。

ヤオコーの直輸入ワイン

イタリア大使館・貿易促進部の意図

トマトやオリーブなどの直輸入商品

 ヤオコーと提携するイタリア大使館・貿易促進部は、イタリア産製品の輸出促進とイタリア企業の国際化を図る組織。日本国内で開催されるさまざまなフェアにイタリア企業を招いたりセミナーをしたりしてイタリアメーカーの周知を図るのが同社のミッションだ。

 イタリア大使館・貿易促進部としてはイタリア産の商品を外国にアピールしたい考えがあり、相互利益をもたらすヤオコーと提携を交わす運びとなった。イタリア大使館・貿易促進部のエリカ・ディ・ジョヴァンカルロ氏は、以下のように語る。

 「イタリア人にとって、食品は常に話題の中心になるほど重要なもの。イタリア人は自国の食べ物と、それを育む土地に対する愛着が強い。それは日本人も同様で、イタリアと日本の重要な接点だと考えている。日本人の伝統を重視する考えや品質を追求する姿勢は、イタリア人にとって魅力的だ」(エリカ・ディ・ジョヴァンカルロ氏)

 続けてエリカ氏は、「コロナ禍の外出自粛により外食産業の売上が落ち込んだ際も、イタリア産食品の日本への輸出量は減少が見られなかった。日本では家庭内でイタリア産の食材が頻繁に使用されていることがわかる」と話す。

 最後にエリカ氏は「イタリア産商品の浸透のためにヤオコーと共に歩みたい」と思いを述べる。