約3年続くコロナ禍によって、暮らし方が変わり、店頭販促にもさまざまな制限が加わっている。そのなかで店頭販促として再認識されているのがメーカー主催のディスプレイコンテスト。試食やサンプリングができない状況にあって、訴求力のある売場をつくる機会として活用する企業も多い。2022年に実施されたディスプレイコンテストのグランプリ受賞店の声を紹介する。
新しい商品に気づいていただく機会に
「世界のサラダでたのしもう キユーピー ドレッシング ディスプレイコンテスト」ボリュームコース グランプリ
(株)ウジエスーパー 築館店
「キユーピー ドレッシング」のほとんどは売れ筋商品。しかし、2022年春発売された「キユーピー ペイザンヌサラダ ドレッシング」は、あまり動きが良くなかったという。
佐々木純一店長は、「味を知ってもらえれば売れる」と考えたことから、今回の陳列でメーン商品としてアピール。その結果、コンテスト時期のドレッシングの売上は150%程度に急伸。「新しい商品に気づいていただく機会として、コンテスト参加の意義は大きいと思います」
(佐々木店長)
試食に代わる施策として
「雪印コーヒー 発売60年目 ディスプレイコンテスト」新商品アイデアコース グランプリ
北雄ラッキー(株) ラッキー長沼店
コロナ禍の影響があり、新商品などの試食販売ができない状況が続いている。そのなかで、ディスプレイコンテストは効果的な施策になっている。
「定番売場だけではできない商品の訴求はもちろんですが、買物が楽しくなる演出やワクワク感のある商品との出会いの場の提供に意義があります。魅力的な売場をつくることで、まとめ買いや関連販売の促進など、戦略的な販売につなげることが可能です」と本多剛店長は話す。
来店客に楽しみを
「香薫ディスプレイコンテスト」グランプリ
(株)Aコープ九州 やまが店
佐藤智典チーフは、「大陳で販売につなげることも重要ですが、売場に変化をつけることで、お客さまに少しでも楽しんでいただきたいという気持ちが強いです」と話す。
今回の陳列でも、子供づれの来店客がボードの前に並べたプリマハムキャラクター『あらびき星人ソップリン』がかわいいと足を止めるなど、さまざまな反応が得られたという。スタッフにとってもやりがいとなるコンテストに手応えを感じているとのこと。
店舗全体の活性化につながる
「明治 店頭陳列·演出コンクール お菓子で夏祭り ディスプレイコース」 スーパーグランプリ賞
(株)Aコープ九州 ララベル店
メーカー主催の大陳コンテストについてはこれまで、企業としても店舗としても力を入れてきたという。
菓子・日雑部門担当の梶山純子氏は、参加する意義について、「いつもご来店いただくお客さまが驚くような、変化のある演出を行うことで、店舗全体の活性化につながると考えています。お客さまにもそうした変化を通して、少しでも楽しんで買物をしていただければと思っています」と話す。
わかりやすい訴求は結果に直結
冷凍食品『マ·マー THE PASTA』『マ·マー 超もち生パスタ』シリーズ 2022年春季ディスプレイコンテスト
THE PASTA & 超もち生パスタコース グランプリ
スーパーアークス ウエスタン北彩都店
厳しい状況のなかで、21年対比で陳列期間の冷凍パスタの販売実績は、104%という伸びを記録した。これは、商品の特徴やこだわりなどをオリジナルPOPでアピールできる大陳ならではの効果でもある。
日配担当の笹尾隼人氏は「難しい環境下でも、しっかりとした陳列や販促を行えば、結果が出てくるということを改めて実感しました。今後も機会がある限り、コンテストに参加していきたい」と語ってくれた。
このようにコロナ禍での制限された状況での販促として、定番棚だけではできない来店客とのコミュニケーションとして、ディスプレイコンテストの活用は検討の価値があるといえるだろう。