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イオントップバリュ土谷社長が独白! リブランディングの成果と課題とは?

2023年のリブランディングを契機に、「トップバリュ」では新たな商品が次々と生まれている。陣頭指揮を執るのは、イオン(千葉県/吉田昭夫社長)のプライベートブランド(PB)の企画・開発・輸入などを行う機能会社イオントップバリュ(千葉県)の土谷美津子社長だ。

社長就任から3年、25年3月からイオンの物流担当も兼任する土谷社長に今後の戦略を聞いた。

プロジェクト方式による商品開発の成果

──2022年3月の社長就任から3年が経ちました。

土谷  社長に就任してからの半年間は、「トップバリュがどこに向かっていくのか」という戦略の策定に時間を費やしました。議論を通じて、「さあ、ワクワクするほうへ!」をキャッチコピーに、「価格戦略」と「価値提供」の2本柱で開発を進めていくという方針を決めました。

 新しい方針のもとでは、「今あるものをつくる」という考え方から脱却し、「ないものをつくる」という考えで商品を開発しています。これを実現するため、商品開発担当者だけでなく、開発とはまったく異なる業務を担当するメンバーも加えた、部署の垣根を越えたプロジェクトチームによる商品開発がスタートしました。プロジェクト方式で開発した新商品は23年春から発売しており、大きな成果が得られています。

冷凍スライスきゅうり
土谷社長の号令で開発されたというトップバリュベストプライスの冷凍スライスきゅうり。冷凍きゅうりは業務用の展開が中心で、一般向けに販売されるのはほとんど例がないという

──プロジェクト方式の採用にはどのような効果があったのでしょうか。

土谷  プロジェクト方式の導入により、商品開発に携わってない社員が「こんな商品がいい」と、“好き勝手”に発言するようになり、発想がぐっと広がりました。商品開発担当者だけの議論だと、「そんな商品はできるはずがない」と思いがちです。

 当然、意見を言った社員も“言いっ放し”ではなく、商品をつくる段階では一緒に工場を探したり、品質管理を考えたりと、商品開発に関する業務を実際に担当してもらいました。

 こうした取り組みを通じて、開発を担当しない社員にも「1つの商品をつくるのはこんなに大変なのか」という理解が深まり、会社全体のレベルアップにつながったと感じています。社内には、人事や総務、経理といったバックオフィス、パッケージを制作する部隊などさまざまな部署があります。

 最もよかったのは、「全員がいないと商品開発はできない」というのがあらためてわかったことです。ふだんのコミュニケーションもよくなり、他人のせいにしない、いい雰囲気がつくれています。

──プロジェクト方式で実際にどのような商品が生まれていますか。

土谷  23年に発売した「Fruits Bite マンゴーボール」という商品があります。これはドライフルーツのマンゴーを丸く小さな形状に成形した商品なのですが、「マンゴーをまん丸にするにはどうすればいいのか」と議論を重ね、試行錯誤の末に完成しました。発売時は、携わったメンバー全員が大泣きしたほど思い入れのある商品です。

 そのほか、「もぐもぐ味わうスープ」「おうちで楽しむCaféごはん」「トキメクおやつ部」などもプロジェクト方式で誕生した商品です。これらも、「世の中にない商品をつくるにはどうしたらいいか」という議論から始まり、開発に至っています。

──そのような新機軸の商品の成果はどう評価しているのでしょうか。

土谷  当然、これまでチャレンジしてきた商品の中には失敗作といえるものもあります。そこで、従来は商品が完成してから実施していたお客さまとのディスカッションを

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