多くの食品スーパー(SM)企業がコロナ禍の反動減の影響を受けるなか、順調に売上を伸ばしている企業の1社が、埼玉県を地盤とするベルク(原島一誠社長)だ。そんな同社が近年とくに注力しているのが商品力の強化である。具体的にどのような商品開発を進めているのか。専門家が実際に店舗を訪れ、分析・解説する。※調査日2022年11月26日
既存店成長の背景で3つの商品を拡充
まず、ベルクの直近の業績について触れたい。既存店売上高は2021年2月期が対前期比112.4%とコロナ禍で大きく伸長。2年目の22年2月期は同101.3%とさらに上回った。23年2月期上期も、昨今の商品価格高騰で消費が冷え込み苦戦するSMも多かったなか、同99.9%とほぼ前年と同じ水準を維持している。
そんな同社が近年推進しているのが、商品力の強化だ。22年2月期は、好業績の背景で取り組んだ施策として、ストアブランド(SB)「くらしにベルク(kurabelc)」、目的買いされる商品、直輸入商品の拡充を挙げている。本稿ではそんなベルクの商品調査を実施し、優れた開発のポイントを解説したい。
今回調査で訪れたのは、22年8月31日、ベルクが神奈川県横浜市にオープンした「ベルクフォルテ横浜川和町店」だ。同店は、横浜市営地下鉄グリーンライン「川和町」駅から南西へ約200mの駅前かつ、区の主要道路「区役所通り」沿いというアクセスが良好な場所に立地。3439坪という広い敷地面積を獲得できたことから近隣型ショッピングセンターの「フォルテ」として開業している。
核店舗のSMの売場面積は約560坪と、ベルクが標準とする600坪よりやや小さいが、取り扱いSKU数は全体で約1万5000SKUと標準店並みに揃える。商圏内には子育て世帯が多いことを受け、近年のベルク店舗で見られる若いファミリー層向けの商品政策(MD)がフル導入されている点から、同店を調査店に選んだ。
まず、ベルクのMDの全体的な特徴は、幅広い層の人が、ふだん使いしやすい品揃えを実践できている点である。たとえば、精肉売場では
・・・この記事は有料会員向けです。続きをご覧の方はこちらのリンクからログインの上閲覧ください。