コロナ禍以降広がる健康意識の高まりを背景に、需要が拡大するノンアルコール飲料のカテゴリー。ユーザーの増加とともに、定番のビールテイスト飲料のほか、RTDタイプやワインタイプ、カクテルタイプなどアイテム数も増え、味わいも多様化している。
ユーザーの拡大に伴い、ノンアルコールRTDが好調
KSP-POSによると、ビアテイスト飲料カテゴリーの2025年1月から9月の期間通算金額PIは、対前年同期比3.2%増の3770円、数量PIは同4.6%減の13.49、その他ノンアルコール飲料の25年1月から9月の期間通算金額PIは、同5.3%増の1376円、数量PIは同1.8%増の11.47となった。
コロナ禍以降から広がる健康志向を背景に、伸長が続くノンアルコール飲料のカテゴリーだが、なかでもその他ノンアルコール飲料はアイテム数が増加傾向にあり、数字からも好調な様子が見て取れる。
次にKSP-POSデータによる25年1月から9月の「その他ノンアルコール飲料」の売上シェアランキングを見てみると【図表】(次ページに掲載)、1位には「チョーヤ 酔わないウメッシュ」、2位に「サントリー ノンアル晩酌レモンサワー」、3位に「コカコーラ よわない檸檬堂」が入った。
金額の増減率で見ていくと、4位の「アサヒ スタイルバランス ゆずサワー」を筆頭にランキング内に8品目がランクインする「スタイルバランス」シリーズと、7位「サッポロ 濃い搾りレモンサワー ノンアルコール」、14位「同グレフルサワー ノンアルコール」による「濃い搾り」シリーズはいずれも好調に推移している。
とくに「サッポロ 濃い搾りグレフルサワー ノンアルコール」は24年秋以降発売の新商品としては最上位の14位にランクインしており、その他ノンアルコール飲料カテゴリーの活性化に貢献している。
バラエティー感のある品揃えで、トライアルを喚起する
運転をする予定のある時や休肝日など、アルコールを摂取できない際の代替品のイメージが強かったノンアルコール飲料だが、近年は日中のリフレッシュやランチタイムなど、幅広いシーンで飲用されている。
需要拡大に伴いメーカー各社はノンアルコール飲料のマーケティングに注力している。キリンビールは9月30日に新発売した、同社史上最もビールに近い味のノンアルコール「キリン本格醸造ノンアルコール ラガーゼロ」が発売から約1カ月で年間販売目標の6割にあたる30万ケースを達成し好調に推移。アサヒビールはアルコール分0.00%のノンアルコールビールテイスト飲料「アサヒゼロ」の年間販売目標を当初の200万ケースから2割増となる240万ケースに上方修正している。
ノンアルコール飲料のカテゴリーはビールテイストが主軸となっているが、近年はRTDテイストやワインテイスト、カクテルテイストなど、ビール以外のフレーバーも増え、ラインアップも多様化している。店頭でもバラエティー感のある品揃えを打ち出すことで来店客に気づきを与え、トライアルを喚起していきたい。