葉物野菜の高騰により、サラダの食卓出現頻度が減少している。その一方でドレッシングは、サラダ以外の使い方が広がっていることから汎用調味料として浸透し、市場は堅調な推移となっている。
ごまドレッシングは汎用性の高さで人気
野菜をたくさん使用したサラダは、栄養価も高く食卓を華やかに彩るメニュー。近年はお肉や魚介類などを加え、食卓のメーンになるサラダも人気を集めている。
KSP-POSデータのドレッシングの期間通算の金額PIは5814円で対前年同期比1.7%減、数量PIは24.5で同2.9%減。月別金額PIでもほとんどの月で微減となっている。これは天候不順による葉物野菜の高騰により、サラダの食卓出現頻度が減少していることが要因と考えられる。
野菜の相場によって売上が左右されるドレッシングだが、サラダ以外の食べ方も広がっている。油分と酸味、調味料がミックスされたドレッシングは、うどんやパスタなどの麺類のソースやお肉や魚の下味、炒めもののソース、炊き込みご飯などにも活用されている。各社ではサラダ以外の食べ方提案を積極的に行っており、汎用調味料として定着している商品もある。
キユーピーの「深煎りごまドレッシング」は、サラダ以外の使用率が高いことから大容量タイプが伸長している商品だ。この春は、用途を広げる春夏限定商品「深煎りごまドレッシング 薬味ポン酢味」「同旨辛ラー油」の2品を発売した。パッケージにはサラダと一緒にうどんメニューを採用し、アレンジが想起できるようにしている。テレビCMでもサラダうどんで食べ方を訴求する。
一方、ピエトロではこの春、「ピエトロドレッシング焙煎香りごま」をリニューアル。新たに「いりごま」を加え、食感のアクセントと香りをプラス。さらに金ごまを増やして4種類のごまをバランスよく配合した。
豊富なラインアップのドレッシングのなかでも人気が高いのがごまドレッシングで、売上構成比は市場全体の約3割を占めている。汎用調味料として広まっているごまドレッシングを各社では強化している。
ノンオイルドレッシングは若年層ユーザーの取り込みが課題
ノンオイル・低オイルドレッシングの期間通算の金額PIは922円で対前年同期比1.1%減、数量PIは4.79で同5.3%減。健康志向の高まりを背景に伸長を続けてきたノンオイルドレッシングだが、健康ニーズが多様化したことで、年々縮小傾向にある。キユーピーでは昨年秋に「キユーピーノンオイル」シリーズをリニューアル。シンプルな配合を意識して塩分・糖質25%カット※を実現し、カロリー配慮だけではないマルチベネフィットを有するシリーズとして展開している。
一方、理研ビタミンでは「リケンのノンオイル」シリーズ23品に、再生PET原料を含むボトルを採用。新たなプラスチック使用量を年間96トン削減できる見込みだ。また、〈塩レモン〉は、まるごとレモンのピューレを2倍に増量するリニューアルを行った。
日清オイリオグループは、使用油分が1/3(同社従来品比)の「日清ドレッシングダイエット」シリーズから〈きざみたまねぎ〉を新発売。玉ねぎの甘みと具材感が楽しめるさっぱりとしたドレッシングだ。
健康訴求ドレッシングは50代以上のユーザーが中心になるが、健康価値だけでなくおいしさも訴求することで、若年層ユーザーを取り込みたいところだ。
※食品成分表2015「和風ドレッシングタイプ調味料」対比