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2024年春・夏に発売してヒットした13食品に共通する圧倒的な「信頼感」

円安による物価上昇やエネルギー価格の高騰もあり、消費者の生活防衛意識は一層高まっている。こうした状況下での2024年春・夏新商品ヒットランキングを見ながらヒットの要因を探っていく。

ロングセラーブランドのリニューアル品が並ぶ

 2024年1月~6月に新商品・リニューアル商品として発売された商品を期間金額PIでランキング化したところ(販売店率20%以上の商品が対象)、主要カテゴリーのランキング1位商品は【図表】のようになった。

主要カテゴリーにおける新商品ヒットランキング1位の商品

出所:KSP-POS(食品SM)に基づき弊社にて集計。2024年1月から6月までに発売された新・リニューアル商品の期間金額PIをランキングで抽出。期間は2024年1月から8月までの8か月間。販売店率20%以上が対象

 24年に入り、人流はコロナ禍以前の状態に戻りつつあるが、長引く物価上昇や円安などの影響もあり、生活者の食品や日用品に対する財布の紐は堅い。こうした環境下、ランキング上位に挙がった商品は、信頼感のある既存ブランドのリニューアル品が多い。

 アサヒ飲料「カルピス®THE RICH」は、原材料の量と質にこだわったカルピス®で、甘い飲料を好む40代以上の男性からの支持が厚いブランド。24年春のリニューアルでは、贅沢な味わいをベースに、甘さや酸味をよりやわらかな方向へと再設計。「仕事の合間など日常のリラックスタイムに楽しみたい」という新規のトライアルに加え、既存ユーザーによる購入頻度や点数も上昇している。

 紙カップ容器ジャム・クリームのロングセラー、ソントンの「ファミリーカップ」は、中身の品質やパッケージデザインを一新。ジャム類は果実感をアップさせたほか、糖度を45度にすることで、スッキリとした甘さへ変更した。クリーム類についても素材感をアップさせたほか、冷蔵庫で保管してもパンに塗りやすいやわらかさを実現している。

 不二家のロングセラーブランド「カントリーマアム(バニラ&ココア)」は容量を変更。今年発売40周年を迎えた同ブランドは好調の「カントリーマアム チョコまみれ」や朝食カテゴリーへの領域拡大を目的とした「モーニングマアム」など、新たなシリーズを展開し、ユーザーの幅を広げている。

 健康ニーズに対応した商品もランキングに挙がっている。小岩井乳業の「小岩井 免疫ケアヨーグルト」シリーズは、キリングループの独自素材〈プラズマ乳酸菌〉を配合した機能性表示食品。

 トライアルしやすい〈甘さすっきり〉、脂肪が気になる人に〈低脂肪〉、砂糖を摂りたくない人に〈砂糖不使用〉、手軽さを重視する人に〈のむタイプ〉をラインアップしており、好みやシーンに合わせて使い分けすることができる。

 マルハニチロの「DHA入りリサーラソーセージω(オメガ)」は、1本当たりDHAを850㎎、EPAを200㎎配合した魚肉ソーセージ。同品は日本初となる心血管疾患に対する疾病リスク低減の特定保健用食品として許可されており、発売時から注目度も高く想定を上回る実績を残している。

若年層や女性など新規層獲得に向けた商品も

 既存品にはない商品価値で、新たなユーザーの獲得を目指す新商品も多く選出された。

 メルシャンの「フロンテラ スパークリング 缶」は小容量かつリキャップ可能なボトル缶のスパークリングワイン。20~40代女性に支持されている同品は、桃やパイナップルなどの豊かな香りとフレッシュで心地よい酸味のバランスが特長の「ブリュット」に加えて、チェリーやプルーンなどの豊かな香りとフレッシュでやわらかな酸味のバランスが特長の「ロゼ」をラインアップしている。

 カバヤ食品「塩分チャージタブレッツ」は、発汗で失われる塩分をおいしく手軽に補給できるラムネタイプのタブレット。24年6月発売の「塩分チャージタブレッツ 梅」は、主要な購買層である子どものいる家庭だけでなく、50代以上の顧客開拓に成功しており、同ブランドの売上伸長に貢献している。

 日本コカ・コーラは「ジョージア」ブランドより「ジョージア 贅沢ミルクコーヒー」を発売。同品は、コーヒー、ミルク、砂糖という3つの要素で構成されたシンプルなミルクコーヒーだ。国産牛乳を贅沢に使用することで、コーヒーのコクの中にしっかりとしたミルク感を感じることができる。

 やさしい味わいの同品は、PETボトルコーヒーの主要ユーザーである30~40代男性に加え、コーヒー初心者の若年層も多く手に取っている。

 明治の「明治ブルガリアヨーグルトLB81プレーンHOME MADE STORY」は、ヨーグルトの本場ブルガリアの家庭に伝統として受け継がれる、素焼きの壺でつくった自家製ヨーグルトをテーマとした商品。味への評価が高く40~50代のミドル層を多く獲得し、プレーンヨーグルト市場全体を活性化している。

時代の変化に合わせた提案でトライアルユーザーを獲得

 国産素材や省スペースなど、味覚や嗜好のトレンドに合わせて開発された付加価値型の商品も幅広い年代に刺さりやすい。

 日清製粉ウェルナは安全・安心イメージのある国内麦小麦粉のラインアップを強化。新商品の「日清 北海道産小麦春よ恋100%強力小麦粉 チャック付」は国産小麦のなかでも小麦粉ユーザーからの支持の高い北海道産小麦「春よ恋」を100%使用。吸水性がよく、扱いやすいため、パンづくりの初心者にも選ばれている銘柄だ。

 明治「果汁グミスマートパックぶどう」は、ジューシーなおいしさの「果汁グミ」の標準4粒入り小袋が12袋入った商品。個包装の食べきりサイズなので子供のおやつとして使いやすく、さらにパッケージはかさばらず自立するスマートタイプなので、デスク周りなどにも置きやすい。来春には新フレーバーのマスカットを発売予定で、売場での存在感を高めていく。

 ライフスタイルの変化から、災害時の非常食だけでなく日常使いが増えているパックごはん。テーブルマークではパックご飯「国産こしひかり」シリーズをリニューアルし、まとめ買い用として10 食パックを発売。中身の配合を見直すことで、ごはん本来の炊き立ての香りがより引き立つようになっており、調理の時短化や簡便化とともにおいしさを求めるユーザーのニーズにこたえる。

 サントリー食品インターナショナルの「おうちドリンクバーPOPメロンソーダ」は、炭酸水で割るだけで外食チェーンでおなじみのドリンクバーのメロンソーダを家でも手軽に作れる濃縮飲料。定番の炭酸割りのほか、かき氷のシロップとして利用したり、酒類を割って楽しんだりなど、利用シーンも広がっている。