コロナ禍で伸長した反動を受け、一時前年割れが続いていた漬物カテゴリーは今期に入り落ち着いた動きを見せている。漬物は長年、中高年層が買い支えているカテゴリーだが、今後ユーザーを広げていくにはご飯のお供としてだけでなく、料理素材としての魅力を訴求する施策も有効となる。
生産量は5年連続で伸長、生姜漬けやたくあんは2ケタ増
KSP-POSデータによると、2022年8月から23年7月の漬物カテゴリー全体の期間通算金額PIは対前年同期比0.2%減の2万902円、数量PIは同2.7%減の100.4と、金額・数量ともに前年に対し微減という結果となった【図表】。
サブカテゴリーごとの金額PIを見ていくと、「浅漬け」「酢漬け・らっきょう漬け」「その他漬物」は前年割れとなったものの、「たくあん」「梅干し」「醤油漬け」は前年並みから微増で推移。品目ごとに多少差はあるもののコロナ禍での内食機会増加で伸長した反動の大きかった前年と比較し、値上げ等の影響も軽微で数値も落ち着いている。
売上構成比の高い「キムチ」についても22年8月から23年7月の期間通算の金額PIは1.4%増の5988円と微増で着地。22年の8・9月は前年を5%以上下回ったが、10月以降は好調に推移している。
食品需給研究センターの「食品製造業の生産動向調査」によると、22年の漬物の生産量は前年比0.5%増の82万721トンと5年連続の伸長となった。
サブカテゴリー別で見ると、「しょうが漬け」(前期比23.7%増)や「たくあん漬け」(同11.2%増)「その他の漬物」(同19.0%増)は2ケタの大幅伸長。また「梅干し・梅漬」や「浅漬け類」、「奈良漬」「わさび漬け」についても前年を上回る生産量となっている。
期間限定品を活用し、鮮度感のある売場づくりへ
長年、中高年世代が買い支えてきた漬物類だが、コロナ禍を機に家で食事する機会が増えたこともあって、あらためて漬物を手に取る消費者も増えてきた。漬物というとご飯のお供が定番だが、おにぎりやチャーハンの具材など、料理素材としての魅力もある。とくにキムチは白菜だけでなく、キュウリを使った「オイキムチ」、大根を使った「カクテキ」などバリエーションもあり、キムチ鍋や炒め物など汎用性の高さで人気がある。
東海漬物では今秋の新商品として、そのまま食べるだけでなくさまざまな料理にアレンジできる新感覚の浅漬け「うま塩ダレ白菜」「辛みそダレきゃべつ」を発売。既存の漬物売場のほか、料理素材として精肉売場やチルドの中華総菜コーナーなどでの展開も計画している。
また、漬物の塩分が気になる消費者は多いが、25%減塩のやさしい味付けで人気のマルハチ「やわらか菜」のように、減塩タイプの商品も出ているので、POPなどを使用し売場で訴求することも有効だろう。
漬物は他のカテゴリーに比べてロングセラーブランドが多く商品の入れ替えは少ないが、旬の野菜を使った商品や期間限定フレーバーも一部出ており、季節感を演出できる部分もある。こういった期間限定品を使って売場に鮮度感を出したり、料理素材としてのメニュー提案を行うことで、カテゴリーの活性化につなげたいところだ。