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日本酒市場、若年層や女性ユーザーなどに向けトライアルを促進する品揃えが重要に

日本酒カテゴリーは昨今の物価高の影響もあり節約志向による大容量品と、健康志向の糖質オフ系や小容量の付加価値品という消費の二極化が進んでいる。長年中高年が支えてきた同カテゴリーだが、この先市場を盛り上げていくには若年層や女性のトライアルを促す施策が重要となる。

消費意欲は回復しつつも、節約・健康志向は高止まり

 KSP-POSデータによると、2022年7月から23年6月の日本酒カテゴリーの期間通算金額P Iは、前年同期比0.1%減の9922.5円、数量PIは同4.8%減の15.9と、金額数量ともに微減となった。

この先市場を盛り上げていくには若年層や女性のトライアルを促す施策が重要となる(i-stock/kuppa_rock)

 月別の金額PIの動向をみると、22年7月から23年3月までは10月、12月を除き前年割れ。23年4月以降は前年に対し微増が続いている【図表】。

 新型コロナウイルスが5類に移行したことで、外飲みを含めた消費者のライフスタイルはコロナ以前に戻りつつあるものの、昨今の物価高の影響もありコストパフォーマンスを考えて、家飲みを選択するユーザーも一定数いるとみられる。

 日本酒カテゴリーは紙パックなど日常使いの大容量品が高い売上シェアを占めているが、近年は純米大吟醸や山田錦使用など付加価値型の商品の動きもよくなっている。また健康意識の高まりにより、糖質オフやプリン体ゼロなど健康訴求の日本酒を選ぶユーザーも増えてきている。

 メーカー各社は和食だけでなく洋食にも合わせやすいタイプや、リラックスタイムに楽しめるやさしい味わいなど、さまざまなタイプの商品を開発。とくに低アルコールや微発泡タイプ、果汁と合わせた日本酒ベースのリキュールなど、ふだん日本酒を飲まない入門層をターゲットとした商品を強化しているようだ。

食とのクロスMDを強化し、日本酒とのタッチポイント増やす

 日本酒は気温が下がる秋口から売上が伸び、歳暮や年始のあいさつなど、ギフト需要が高まる12月、1月にピークを迎えることから、各社は需要期に向けて期間限定品や新商品を投入している。

 大関では「純米にごり酒 夢みるまえのひつじ」やJAとのコラボ商品など若年層や女性をターゲットとした商品を強化。月桂冠もチョコレートやキャラメル味の日本酒リキュールシリーズを秋冬限定で展開する。

 小西酒造ではバター味のフードとのペアリングに最適な日本酒「KONISHI サンキュー バターマッチ」を発売。日本盛では今春発売の日本酒ソーダ「日本盛JAPAN SODA」の拡販に力を入れる。

 コアユーザー向けの施策としては、辰馬本家酒造が数量限定品「黒松白鹿ひやおろし 純米 もち四段仕込」を展開。白鶴酒造ではNo.1ブランド「白鶴 まる」のパッケージを一新した。菊正宗はIWC2023でグレートバリュー・チャンピオン・サケを受賞した「しぼりたてギンパック」の販促を強化する。

 今後、日本酒の需要を広げていくには、季節感のある演出や総菜とのコラボレーションなど、家飲みならではのお酒の楽しみ方を訴求することが重要となる。コロナ禍以降広がった家飲みの習慣から、30~50代など比較的若い世代も日本酒に関心を持ち始めており、自分事としてとらえられるような施策でトライアルを獲得することが、マーケットの拡大につながるだろう。トライアルの獲得に向け日本酒の選び方やシーン提案、おすすめ料理など、新規ユーザーが興味を持つ仕掛けをつくることで、日本酒売場を盛り上げたいところだ。

インテージSRI+調べ 日本酒 2021年4月〜2022年3月累計販売金額(全国計)