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ノンアルコール飲料市場、健康志向を背景に需要拡大、ノンアルRTDやワインがとくに好調

ノンアルコール飲料のマーケットは近年成長を続けており、とくに2020年以降はコロナ禍での健康意識の高まりを背景に需要が急拡大している。また定番のビアテイスト飲料だけでなく、RTDタイプやワインタイプなど商品ラインアップも充実してきている。

ビアテイスト飲料は前年の反動を受けて微減

 KSP-POSによると、ビアテイスト飲料カテゴリーの2022年3月から23年2月の期間通算金額PIは、対前年比1.6%減の3091円、数量PIは同3.9%減の12.37と、金額・数量ともに前年に対し微減となった。

 月別の推移を見てみると対前期比10%増となった22年9月を除き、大幅増となった前年の反動を受け、多くの月で前年を割り込んでいる。

 一方、今期も順調に数字を伸ばしているのが、ノンアルコールRTDやノンアルコールワインといった商品群だ。

ノンアルコール飲料のマーケットは近年成長を続けており、とくに2020年以降はコロナ禍での健康意識の高まりを背景に需要が急拡大している。(i-stock/Julio Bonfante)

 その他ノンアルコール飲料の22年3月から23年2月の期間通算金額PIは、対前年比25.4%増の1135円、数量PIは同18.4%増の9.83と昨年に引き続き、金額・数量ともに大幅伸長となった。月別の推移を見てもすべての月で対前年同月比2ケタ増となっており、ラインアップの充実やまとめ買いなどによる好調の様子が見て取れる。

 酒類では飲酒スタイルの多様化に伴い、ビール類からRTDへの流入が進んでいるが、この動きがノンアルコール飲料にも波及。その他ノンアルコール飲料はビアテイスト飲料と比較しパイは小さいものの毎年拡大を続けており、その勢いは止まらない。とくに若年層はビール類の苦みが苦手な人も多いことから、その他ノンアルコール飲料の需要は今後も拡大することが予想される。

気付きを与える売場づくりで新規トライアル促進

 運転が控えている時や休肝日など、アルコール代替としての利用シーンが一般的だったノンアルコール飲料だが、近年は日中のちょっとしたリフレッシュやランチタイムなど、幅広いシーンでも利用されている。

 ビアテイスト飲料だけでなくRTDやワインなど、商品ラインアップが豊かになり、味わいや気分で選ぶ楽しみが広がったことも需要の拡大につながっているのだろう。

 宝酒造では「タカラ 焼酎ハイボール」のおいしさを濃縮したエキスを使用した新ブランド「タカラ 辛口ゼロボール」が好調に推移。サントリーは期間限定品として「ノンアルでワインの休日(白)地中海レモン一搾り」を投入した。

 キリンビールでは「キリン グリーンズフリー」を中身・パッケージともにリニューアル。アサヒビールの「スタイルバランスプラス」は、難消化性デキストリンを5g含有する機能性表示食品タイプを展開する。サッポロビールも機能性表示食品の「サッポロLEMON’S FREE」のパッケージリニューアルを行っている。

 コロナ禍が落ち着きマスク着用も緩和されたことで、旅行やアウトドアなどの外出機会や人が集まる機会が増えると予想される。このことから酒類およびノンアルコール飲料の飲用機会も今後増えてくるだろう。

 需要が拡大するノンアルコール飲料だが、RTDタイプなどは商品認知度がまだまだ低く売場でも気付かれないことがある。店頭でもPOP等を使った情報発信により来店客に気付きを与え、トライアルにつなげていきたいところだ。