メニュー

機能性需要が一段落するなか食シーンを広げる「デザートヨーグルト」に期待がかかる

個食タイプのヨーグルトは機能性を訴求したものが市場を牽引してきたが、機能性需要が一段落したことで頭打ち状態となっている。そのなかで好調に推移しているのが、濃厚系プレミアムタイプ。たんぱく質を訴求したものやおいしさ訴求で食シーンが広がっている。

大容量タイプが市場を牽引、朝食だけでなく料理に使うケースも増えている。demaerre/i-stock

濃厚系プレミアムタイプの需要が右肩上がり

 コロナ禍による在宅勤務や外出自粛により、家庭内需要が増加したことや、生活防衛意識の高まりで、ヨーグルトのなかでも大容量タイプが市場を牽引。朝食だけでなく、料理に使うケースも増えている。

 一方、個食タイプは機能性ヨーグルトを中心に年々市場を拡大してきたが、機能性需要が一段落した2018年から19年にかけて市場は踊り場状態となっている。そのなかで好調に推移しているのが濃厚系プレミアムタイプ。KSP-POSによると、18年を100とした場合、19年はヨーグルト全体が98.49なのに対し濃厚系プレミアムヨーグルトは101.75。20年はヨーグルトが109.09と微増なのに対し濃厚系プレミアムヨーグルトは121.24と大きく伸長した。

 濃厚系プレミアムヨーグルトのなかでも注目を集めているのが、濃厚でクリーミーな食感のギリシャヨーグルト。ギリシャ伝統の「水切り製法」を用いて、水分や乳清を除去することで一般的なヨーグルトより水分が少なく、その分たんぱく質を多く含むのが特徴だ。日本で最初に発売されたギリシャヨーグルトが森永乳業の「ギリシャヨーグルト パルテノ」。今年春には、プロテイン量を9.9gから10.2gに変更するリニューアルを図った。そのほか、ダノン・ジャパンの「オイコス」や、明治の「明治ブルガリアヨーグルト脂肪0水切り濃縮」などが発売されている。

 また、日本ルナでは、独自のスキル菌とオリジナルレシピにより、高たんぱくでありながら脂肪0を実現した「イーセイ スキル」を展開。こうした商品は、からだづくりに必要なたんぱく質を手軽に摂れるため、幅広い年齢層から支持され、朝食だけでなく間食や夕食などの食シーンも広がっている。また料理にも使いやすく、各社では使用シーンの拡大を図っている。

スイーツよりもカロリー低めで満足感のあるデザートヨーグルト

 ヨーグルトは朝食のイメージが強いが、デザートとしてのニーズも根強い。デザートヨーグルトはスイーツよりもカロリーが控えめで、満足感もあるため一定のユーザーから支持されている。

 オハヨー乳業の「ぜいたく果実」は、コクのあるヨーグルトに、まるごとのフルーツ果肉を加えたフルーツのおいしさが十分楽しめるヨーグルト。選定から加工方法までフルーツのおいしさと満足感にこだわった商品だ。

 よつ葉乳業では、同社独自の濃縮製法により、ミルクがギュッとつまったおいしさとなめらかな食感の「北海道濃厚ヨーグルト」を展開。この秋は、クリーム配合量を高め、さらにミルキーでなめらかな食感に仕上げた。また、「北海道バターミルクヨーグルト」に、女性に人気のある、ヨーグルトとレアチーズケーキフレーバーを合わせた新フレーバーを投入。洋酒とレモン果汁、同社のカマンベールチーズの風味が「まるでデザートのようなヨーグルト」を実現した。おいしさを追求した商品の投入で、ヨーグルトの食シーン拡大を図る。

 個食タイプは、濃縮タイプを中心としたプレミアムタイプが年々拡大していることから、価格だけが購買動機ではなく、おいしさや原料、機能性、こだわりなどの複合的な付加価値を持つ商品へのニーズが存在すると考えられる。店頭ではコストを重視する商品と価値訴求の商品をバランスよく配置することが売場活性化のポイントといえそうだ。