「ズバッと除菌シリーズ」
クルマの消臭剤コーナーで除菌を提案、家庭用の除菌売場でも販路拡大
選評
ノウハウ、スピード、提案力がヒットの要因
これまでのカー・レジャー用品の芳香剤部門は、プロクター・アンド・ギャンブルの「ファブリーズ」ブランドが、ヒット商品アンケートで回答を占めてきた。今年はプロスタッフの「ズバッと除菌シリーズ」が回答の半分以上を占めて、堂々の受賞となった。同社からは、洗車・ワックス部門の「CCウォーターゴールド ウェットクロス」も受賞しており、2アイテムが選ばれたことになる。
プロスタッフは、除菌消臭剤「ズバッと滅臭シリーズ」を2002年より販売していたが、新型コロナ感染症が拡大する20年6月に、除菌を全面に打ち出した「ズバッと除菌シリーズ」を9アイテム発売した。
感染が拡大し始めたとき、日用品売場で除菌関連の商品が品薄になった。プロスタッフは、カー用品売場で同シリーズを展開することを提案。消費者も、密になる車内空間の除菌効果だけでなく家庭室内の除菌効果も期待して、購入するケースが増えた。
同社がそれまで培ってきた商品開発のノウハウとスピード、さらにクルマの消臭剤売場で除菌剤を展開する提案力が、ヒット商品につながった。
アンケートの中には「夏の食中毒、冬のインフルエンザ対策など通年での除菌・ウイルス対策の需要が増している」と回答したホームセンターもあり、今回はコロナ禍という特殊な背景もあったが、衛生面への消費者の意識の高まりもあった。今後は、カー用品売場の消臭剤コーナーは、消臭・除菌コーナーとして定番化していきそうだ。
アンケート結果
9アイテムで大量陳列も可能に
除菌剤の需要が高まったときに、アルコールや安定化二酸化塩素、界面活性剤などさまざまな成分が出回った。初めのうちは、成分いかんにかかわらず除菌剤を手に取る消費者が多かったが、落ち着きを見せ始めると、成分別の効果を知りたいという要望も顕在化した。
「ズバッと除菌シリーズ」は、安定化二酸化塩素を主成分とする6製品と、エタノール(75vol%)を主成分とする3製品がラインアップされた。プロスタッフは、成分別の特徴を紹介したPOPなどのツールを用意したことが、売場からの支持を集めたようだ。
また、スプレー、ミストエアー、置き型、ファンなどのタイプ別に品揃えをしたことで、売場のエンド展開など大量陳列も用意されたことも「売場提案」が高評価になった理由だ。
「価格」も高評価だった。買い求めやすい値頃感があったことも、ヒットした要因だ。
マーケット& プロダクト
カー用品の除菌消臭剤の実績をひっさげ家庭用除菌剤の市場に本格参入
カー用品メーカーとして知られるプロスタッフが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、除菌・ウイルス対策ブランドとして「ズバッと除菌シリーズ」を開発。カー用品メーカーとして培ってきた技術を活かし、より活用範囲の広い家庭用の除菌剤として開発、2020年5月に発売開始した。
同社は安定化二酸化塩素を主成分とした除菌消臭剤「ズバッと滅臭シリーズ」を02年より販売。車内の気になるにおいをしっかり抑えることから多くのユーザーに支持されており、顧客満足度は95%を超えるという隠れたヒット商品となっていた。20年、ウイルス対策のニーズが急激に高まるなか、家庭用の除菌アイテム市場に本格参入する商品として登場したのが「ズバッと除菌シリーズ」だ。
シリーズラインアップは安定化二酸化塩素を主成分とするものと、アルコールを主成分とするものに分類される。スプレータイプやエアゾールだけでなく、置き型タイプ、電動ファンタイプなど、多様なラインアップを揃えている。
「ズバッと除菌アルコールスプレー300s」の最大の特徴は、高濃度アルコール77・5vol%と塩化ベンザルコニウム0・1%を配合した点だ。塩化ベンザルコニウムはNITE(製品評価技術基盤機構)の検証試験で、新型コロナウイルスに有効な界面活性剤として取り上げられている成分。テーブルなどを拭き取る際に速効性のアルコールは短時間で揮発する一方、持続性の高い塩化ベンザルコニウムは拭き取った後にも効果を発揮する。
また「ズバッと除菌 ウェットシート」は、植物性アルコール、塩化ベンザルコニウム、銀イオンのトリプル配合による付加価値型商品だ。
メーカー( 担当者) のコメント
除菌製品だけでなく非接触ツールの需要が高まる衛生関連市場
シリーズ商品の好評を受け、2020年秋にはアイテム拡充を行っています。新たに「ズバッとハンドスプレー」(保湿成分配合・300㎖/他に100㎖ミニボトルもラインアップ)、「ズバッと除菌 ウェットシート」などを発売しています。
20年は、除菌成分への関心が高まっていることから、商品機能の情報発信・啓もうの一環として、アルコールや安定化二酸化酸素、界面活性剤など、成分別に除菌の仕組みや用途を説明した専用サイトを開設しました。また店頭販促をサポートするため、ユーザーが用途によって最適な除菌製品を選択できるように成分別の特徴を紹介したPOPなどのツールを用意しています。さらに新商品の発売時から21年1月まで、消費者向けキャンペーンも実施するなど、さまざまな手法で新商品の認知拡大に努めています。
また、不特定多数の人が触れる共用品(ドアハンドルや手すり等)を直接触れることなく利用できる接触感染対策アイテム「フレナイン」と「フレナイン ストレッチグローブ」も好評です。20年内に発売した除菌関連製品のアイテム数は20を数えることになります。コロナの状況が今後どうなるかは予断を許しませんが、いずれにしても衛生関連ニーズは今後の社会生活で大きなウエートを持ち続けていくと考えています。今後も当社としては、カー用品市場で培ってきた技術や知見を活かし、時代の変化に合わせた商品開発にまい進していきたいと思います。
(広報課 寺西亮氏)