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顧客の来店価値を高める売場づくりとは!?

顧客の来店価値を高め、購買意欲を高める店内空間の構築を行うことは、競合店舗との差別化にもつながる。今回はダイヤモンド・チェーンストア誌が2020年に取材した注目店舗から、特徴的なストアマネジメントを行う売場をピックアップ。加工風景を見せる演出や柱回りを生かした陳列など、こだわりの施策を見ていこう。

 平和堂(滋賀県/平松正嗣社長)の「ららぽーと愛知東郷店」では、総菜売場の隣に青果部門の果物を店内加工したジュースやタルトを提供する「ジュディフルラボ」コーナーを設置。店舗の出入口すぐの場所にあることから、集客にも一役買っている。新商品として果実を具材にしたサンドイッチ「フルーツサンド」を販売。「ぶどうミックスサンド」や「いちごたっぷりサンド」など断面が美しく見映えもよいため、店頭でも目を引く。

青果部門の果物を店内加工したジュースやタルトを提供する「ジュディフルラボ」コーナー/平和堂ららぽーと愛知東郷店(愛知県愛知郡)

 米サンフランシスコ発の体験型ストア「b8ta」が今夏、日本に初上陸し、大きな話題となった。「ベータ」を展開するb8t a社は、2015年に創業したスタートアップ企業で、RaaS(リテール・アズ・ア・サービス:サービスとしての小売)を事業モデルとする企業の草分けともいわれる。取り扱いカテゴリーは、家電製品、調理器具、日用雑貨、ファッション雑貨、食品、コスメなどで、ラインアップは1000円ほどの菓子から、35万円ほどのチョコレートドリンクメーカーまで幅広い。区画ごとにタブレット端末を設置し、動画や画像を通じて、各メーカーの商品やブランドのコンセプトを訴求。また店舗の天井には、消費者データを取集するためのデモグラフィックカメラやAIカメラを設置している。

消費者に「体験」や「発見」の場を創出するサンフランシスコ発の「ベータ」/b8ta Tokyo-Shinjuku Maru(東京都新宿区)

 JR「高輪ゲートウェイ」駅内の「TOUCHTO GO」も話題の店舗のひとつだ。同店は弁当・総菜、菓子、飲料、雑貨など約600アイテムを揃える無人AI決済店舗。店内の天井部に設置された約50台のカメラや、商品棚の重量センサーが利用客の動向や商品の動きを認識。利用客が店内に入り欲しい商品を手に取った後、出口付近にある決済ゾーンに立つと、ディスプレー上に選んだ商品と合計金額が自動で表示される。新型コロナウイルスの影響により、他人との接触を避けたいというニーズが新たに生まれたことから、レジレス・スキャンレス型店舗は有望なフォーマットといえるだろう。

高輪ゲートウェイ駅構内にオープンした無人A I 決済店舗「TOUCH TO GO」(東京都港区)

 

 ライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長)の「ライフ夙川店」では、「オーガニック」「健康」などをテーマにした売場づくりを行う同社の独自フォーマット店舗「ビオラル靭店」の一部商品を集積した「ビオラルコーナー」を設置。夙川店では3尺のゴンドラ12本を使い同社最大規模で展開する。

オーガニックや健康をテーマにした「ビオラルコーナー」を設置/ライフ夙川店(兵庫県西宮市)

 阪急オアシス(大阪府/並松誠社長)の「阪急オアシス茨木駅前店」では、商圏内に若い世代や、大阪の都市部で働くトレンドに敏感な人が多いことから、美容と健康関連の食品や飲料を集積した「ヘルス&ビューティ」コーナーを設置。「低糖質」「高たんぱく」「薬膳」などの話題性あるテーマごとに商品を集積し、競合店との差別化を図る。

美容と健康関連の食品や飲料を集積した「ヘルス&ビューティ」コーナー/阪急オアシス茨木駅前店(大阪府茨木市)

 良品計画(東京都/松﨑曉社長)の「無印良品 直江津」では、上越産の旬の野菜や伝統野菜を販売する「なおえつ良品食堂」を展開。地元の「JAえちご上越」が運営する農産物直売所「旬菜交流館 あるるん畑」と協業運営しており、野菜のほか、地元の発酵食品や米、酒類なども取り扱う。

上越産の旬の野菜や伝統野菜を販売する「なおえつ良品食堂」/無印良品 直江津(新潟県上越市)

 サミット(東京都/服部哲也社長)の「サミットストア桜木町コレットマーレ店」では、天井にテントを設置し、マルシェのような空間を演出している。また、壁面に大きなガラス窓を採用し加工シーンを見せることで、出来たて感を訴求する売場づくりを行っている。

壁面に大きなガラス窓を採用し、出来たて感を訴求する/サミットストア桜木町コレットマーレ店(神奈川県横浜市)

 ベイシア(群馬県/橋本浩英社長)の「ベイシア前橋吉岡店」の青果売場では、天井を高くすることで開放感のある空間を演出。ビジュアルマーチャンダイジングにも取り組むことで、マルシェのような空間を構築している。

天井を高くすることで開放感のある空間を演出する/ベイシア前橋吉岡店(群馬県北群馬郡)

 マックスバリュ関東(東京都/手塚大輔社長)の「マックスバリュおゆみ野店」は、リニューアルに際し「買い物体験型スーパーマーケット」へと転換。味覚だけでなく、目で見て、香りを感じて、音を聞いて、出来たて商品に触れられる、五感を刺激できるような売場づくりに注力している。

「買い物体験型スーパーマーケット」へと転換し、五感を刺激する売場づくりに注力する/マックスバリュおゆみ野店(千葉県千葉市)

 フードウェイ(福岡県/後藤圭介社長)の「フードウェイソコラ武蔵小金井クロス」では、競合店との差別化対策としてチーズの量り売りコーナーを導入。専門性のある品揃えで他店との差別化を図っている。

生鮮強化と専門性のある品揃えで他店との差別化を図る/フードウェイソコラ武蔵小金井クロス(東京都小金井市)

 東急ストア(東京都/須田清社長)の「東急ストア綱島駅前店」は、駅構内立地のため、店内に太い柱が多く存在する。そこで同店では柱回りを活用し、定番棚やリーチインの冷蔵ケースを設置している。

柱回りを活用し、定番棚やリーチインの冷蔵ケースを設置している/東急ストア綱島駅前店(神奈川県横浜市)

※掲載した写真はすべて取材時のものです。
 現在の売場と異なる場合があります。