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カテゴリーフォーカス:たんぱく質、ライトユーザーも増え市場活性化 コーナー化によりさらなるマーケット拡大へ

たんぱく質(プロテイン)の市場はこれまで、スポーツ愛好家や健康意識の高いユーザー向けの商品が中心だったが、近年は加工食品や飲料・デザートなど、商品の幅が広がったことでユーザーが拡大し、市場も活性化している。

現在は一般生活者の利用も進み需要が伸びている。 gettyimages/VlaDee

マーケットトレンド

スポーツ愛好家から一般生活者までユーザーに広がり

 三大栄養素のひとつであるたんぱく質は、筋肉や血液など人間の体をつくるために欠かせない重要な成分だ。近年、たんぱく質摂取への理解が深まったことに加え、日常的にたんぱく質を摂取する生活者が増えたこと、たんぱく質を訴求する商品の幅が広がったことなどから、市場は拡大を続けている。

 富士経済の調査によると、たんぱく質補給食品の市場は、2014年から大幅な拡大を続けており、19年の市場(見込み)は前年比10.6%増の1453億円となっている【図表】。14年頃はプロテインパウダーをはじめとした健康食品・サプリメント類が60%以上を占めていたが、17年以降はサラダチキンやちくわ、ソーセージ類などの加工食品をはじめ、飲料・デザートも大きく伸びている。

 品目別にみると、プロテインパウダーは発売当初、アスリートに需要が限定される傾向にあったが、筋トレブームやロカボ(低糖質・低炭水化物)なども追い風となり、現在は一般生活者の利用も進み需要が伸びている。このプロテインブームは他の商品カテゴリーにも波及しており、たんぱく質補給食品市場全体の拡大につながっている。

 加工食品で特筆すべきはサラダチキンだろう。13年頃から高たんぱく・低カロリーといった点で注目されはじめ、ヘルシー志向の生活者やスポーツ愛好家からも支持されているのが特長だ。また、たんぱく質補給を目的としたソーセージやちくわ、かにかまなども発売され、アイテムが多様化している。

 飲料・デザート系ではプロテインドリンクがスポーツユーザーから一般生活者まで幅広い層に支持され、参入メーカーも増えてきた。また乳製品では日本ルナの「イーセイスキル」が高たんぱく・脂肪0でありながら、シルクのようななめらかでクリーミーな食感が受け、女性を中心に好評を得ている。

提案型の売場づくりでトライアルを促進

 たんぱく質は本格的にスポーツを行うアスリートが、筋肉をつけるために摂取するイメージが強かったが、近年はスポーツ人口の増加に加えて商品の幅が広がったことで、ダイエットや美容目的、健康維持など、それぞれの目的に合わせて、老若男女問わずたんぱく質を摂取する機会が増えてきている。

 20年以降も東京オリンピックによるスポーツへの関心の高まり、それに乗じたスポーツ人口の増加などにより堅調な需要増加が期待され、20年の市場は1558億円、30年には1908億円に拡大すると予測される。健康意識の高まりやスポーツ人口の増加は、たんぱく質補給食品にとって市場拡大の追い風になるだろう。

 新しいユーザーを取り込むためには、たんぱく質補給の重要性をPOP等で伝えたり、それぞれの売場で商品を集積しコーナー化するなど、提案型の売場づくりによって生活者に気づきを与えることが必要だろう。サイズや価格面でも手に取りやすい商品ラインナップを取りそろえることでトライアルの促進を促し、市場の拡大をめざしたいところだ。

注目メーカーマーケティング 日本ルナ

シルクのような口当たりのアイスランドの乳製品高たんぱく・脂肪0「イーセイ スキル」

日本ルナの「イーセイ スキル」は、アイスランドで長年受け継がれてきた高たんぱく・脂肪0の乳製品。3月の発売以降、好調に推移しており、とくにトレンドに敏感な女性やたんぱく質を積極的にとりたいユーザーから絶大な支持を得ている。

アイスランド発の国民食3月に日本初上陸

 「スキル」はアイスランドで1000年以上前から食べられている、同国の国民食とも呼ばれるヨーグルトに似た食感の乳製品だ。シルクのようになめらかな舌ざわりを持ち、高たんぱくで脂肪0という点から、ヨーグルトに続く新たな健康志向の乳製品として、広く注目されている。

 「スキル」はアイスランドの各家庭でつくられてきた伝統食だが、2000年ごろから工業化が進んだ。さまざまなメーカーから「スキル」商品が発売されているが、最も早く工業化に成功したMSアイスランドデイリーズ社の「イーセイスキル」が、同カテゴリーの中で大きなシェアを占めておりNo.1ブランドとなっている。

 現在、「イーセイスキル」は欧州を中心に17カ国で展開しており、セレブがSNSで発信したことから人気に火が付き、アメリカではギリシャヨーグルト等が下火になる中、「イーセイスキル」が大きく伸長している。

 日本ルナでは、日本のヨーグルト市場が停滞する中、新たな乳製品として高たんぱく・脂肪0の特徴を持つ同品に着目。MSアイスランドデイリーズ社とライセンス契約を交わし、アジア圏初上陸となる「イーセイスキル」を3月31日に発売した。

 日本ルナ「イーセイスキル」のフレーバーは「プレーン」、「バニラ」、日本オリジナルのフレーバー「ストロベリーピーチ」の3アイテム。一般的なヨーグルトに比べたんぱく質が多く含まれており、脂肪0でありながら、シルクのようななめらかでクリーミーな食感が特徴だ。そのまま食べるだけでなく、ドライフルーツなどでトッピングしたり、料理や菓子つくりに使うこともでき、本国アイスランドでは、「イーセイスキル」を使ったレシピも多数開発されている。

1番人気はバニラフレーバー性年代問わず幅広い層が支持

 健康意識の高まりを受け、たんぱく質(プロテイン)を中心としたマーケットは20~40代の男女をメーンに伸長している。TVや雑誌といったメディアに取り上げられることも多く、高たんぱくを訴求する商品がさまざまなカテゴリーで注目されている。

 「イーセイスキル」のメーンのターゲットは健康志向が高くトレンドに敏感な20~30代の女性だ。コミュニケーションは女性を意識し、インスタグラム、YouTubeでの広告を強化。店頭用としてスイングPOPやパネル、仕切り、レールPOP等の販促ツールも準備している。

 発売から3カ月が経過したが、ユーザーからは「たんぱく質が豊富で、脂肪0なのになめらかでなにより美味しい」「チーズのように濃厚で料理にも使えそう」といった声が寄せられているほか、アイスランドや、欧米諸国で以前に食べた経験のあるユーザーからは「とうとう日本にも上陸した」と発売を待ち望んでいた声も多かったという。

 POSを分析すると基本的に20~40代女性の購買が中心だが、1番人気のバニラフレーバーは、他のフレーバーに比べ、性年代問わず幅広い層が手に取っている。食シーンでは朝食や運動後のたんぱく質補給としての利用が多く、TV番組や雑誌、WEBメディアでも多数紹介されている。

 夏以降のプロモーションとして、8~9月にヘルスケア・フィットネスアプリの「FiNC」とコラボレーションした健康グッズや美容グッズが当たるクローズドキャンペーンを実施予定。また日本ルナの公式Twitterにてキャンペーンも実施予定である。同社ではたんぱく質に関する需要が拡大する中、高たんぱく・脂肪0の「イーセイスキル」を訴求することで乳製品売場の再活性化に貢献する。