食品スーパー(SM)では昨今、部門を超えた生鮮の総菜化が進んでいる。なかでも魚総菜は、下ごしらえや調理の手間がかかる魚料理を簡単に楽しめるとあって、お客の支持は高い。店舗にとっても、ダウントレンドが続く鮮魚で売上・利益を確保できる、メリットの大きな商材だ。本稿では業界の中でも生鮮総菜の開発で先行する、アクシアル リテイリング(新潟県)傘下の原信(同)の魚総菜を調査し、強みと学ぶべきポイントを考察した。
調査日:2024年1月11日 ※文中の価格はすべて税抜
焼き魚からサラダまで多様なジャンルで展開
まずは原信の魚総菜の売場を見ていこう。
今回調査に訪れたのは、昨年9月に移転オープンした「原信燕店」(新潟県燕市)である。総菜は売場最前部でインストアベーカリー、青果と一体化したダブルコンコース型の売場で展開されている。その中で魚総菜は焼き魚、煮魚、フライ類など鮮魚部門の素材を使ったメニューを主通路上の平台に集積した「魚菜屋」をはじめ、サラダコーナーや鮮魚寿司コーナー、さらには鮮魚部門のおつまみコーナーなどにも魚総菜のメニューが差し込まれている。
調査日の昼12時ごろの時点で、魚総菜(注:ここでは担当部門にかかわらず魚介をメーンとした総菜商品全般を対象とする)のSKU数は弁当が3、サラダが7、スモークディッシュ(魚の燻製商品)が5、焼き魚12、唐揚げ5、天ぷら4、フライ5、グリル(グラタンなど)2、寿司5、海鮮丼1、巻物3、魚の肴(鮮魚部門で店内調理している魚介のおつまみメニュー)が5となっていた。売場全体で見ても、魚総菜の存在感は大きいといえる。
品揃えの面で目を引くのが、サラダと焼き魚、そしておつまみである。
サラダは青果売場のサラダコーナーに差し込まれており、「オーロラソースのえびサラダ」(398円)、「Osashimi カルパッチョ」(サーモン、ぶり各398円)、「思いっきりガーリック えびと帆立の根菜サラダ」(398円)など、見た目も鮮やかで思わず手に取りたくなるメニューが並ぶ。
焼き魚は「縞ほっけの熟成干物焼き」(258円/100g)、「活〆トロ銀だら」(越後味噌焼き・みりん焼き各438円/同)、「骨取り鮭の味噌マヨ焼き」(358円/同)など、それだけで十分におかずになるような満足感のある商品が集まる。焼き魚といっても、魚種や使用する調味料、製法に幅を持たせることで、お客を飽きさせない工夫が感じられた。
生食用サーモンを唐揚げに調理!
続いて、実際に試食した中でとくに印象に残った商品をいくつか挙げていきたい。
まずは、サラダコーナーで
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