ディスカウント型食品スーパー(SM)を展開するオーケー(神奈川県/二宮涼太郎社長)は、オペレーションと商品構成にメリハリを利かせて同社がコンセプトとして掲げる「高品質・Everyday LowPrice(エブリデー・ロープライス:EDLP)」を実現している。そうしたオーケーの商品・売場づくりについて、SMでのコンサルティング経験多数のアイダスグループ代表鈴木國朗氏に解説してもらった。
※調査日は2023年11月7日(文中の商品価格はすべて非会員本体価格)
EDLPの徹底により“安い”イメージを醸成
今回調査で訪れた店舗は、10月3日にオープンした「オーケー新座野火止(にいざのびどめ)店」(埼玉県新座市:以下、新座野火止店)である。JR武蔵野線「新座」駅から1.7㎞ほどの場所に立地。売場面積1739.37㎡、駐車台数133台である。オーケーの他店舗と同様に、買物客を一方向に誘導するワンウェイコントロールを採用し、同社らしく無駄をそぎ落としたシンプルな売場に仕上げている。オーケーは物流効率化を図るため国道16号線の内側でドミナント出店をするほか、近年はとくに肥沃なマーケットである東京23区への出店に積極的だ。新座野火止店は量販店や飲食店チェーンが林立する国道2 5 4 号線から400mほど入った場所にあり、周辺は工場や倉庫が立ち並ぶ。その周囲には住宅街が広がるが、1次商圏の人口は多いとはいえない。それでもオーケーが出店に至ったのは、オーケーが、多少条件が悪くても賃料が抑えられる場所に出店し、店自体の“魅力”を高めることによって、集客する戦略をとっているからだ。
では、その魅力とはなにか──。オーケーの最大の魅力は、EDLPを実現しながらも、高い鮮度や品質、おいしさを提供している点にある。
まずオーケーの基本的な商品政策(MD)について確認しておこう。オーケーは敬老の日、七五三といった季節催事コーナーをほとんど設けない。その代わりに、季節感や旬の訴求は、たとえば青果売場で「はしり」(出始め)、「たけなわ」(旬の盛り)、「なごり」(終盤)と記したPOPを表示するなど、定番売場で表現している。季節催事はすべてのお客に関係するものばかりではない。年末年始など限られた催事は別として、販促企画自体も絞り込んでいる。また、ゴンドラエンドには特売や季節のおすすめ商品をディスプレーするのが一般的だが、同社では定番商品を陳列する。こうすることで、頻繁に売場を変更するのに人手をかけずに済むわけだ。
オーケーの価格政策の主軸はEDLPだが、
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