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ジム利用者だけじゃない! 急拡大するプロテイン市場をけん引する、意外なユーザー層は?

いま世界中で、たんぱく質を訴求した食品・飲料が拡大・多様化している。バー、粉末飲料、ヨーグルト、ベーカリー、肉代替食品、ヨーグルトドリンク、アイスクリーム、液体飲料などのカテゴリーがあり、2014年に新製品上市数は1000程度だったが、2018年には4000以上にのぼっている。それらの半数を占めているのが、バー、粉末飲料だ。(本稿は2019年10月2日から4日までの間、東京ビッグサイトで開催された第30回食品開発展2019においてデュポンブース内において行われた、「スポーツプロテイン市場」をテーマとするプレゼンテーションベースとしています)。

Photo: Ridofranz

食事の代替機能も!
カジュアルユーザーが広げたプロテイン市場 

 このような市場拡大の背景には、プロテイン食品・飲料のユーザー層の拡大がある。

 従来はアスリートやボディメイクに関心のある層が、プロテインの「コア」ユーザーで、ウエイトアップやウエイトマネジメント、スポーツパフォーマンスの向上を目的として利用していた。そこに、ダイエットやアンチエイジングを目的に、スポーツジム利用者やシニア、美容意識の高い女性など「カジュアル」ユーザーと呼ばれる層が加わり、最近では食事代替、スナッキング、健康補助・増進を目的に、疲労回復やロカボとしてプロテインを消費する「ライフスタイル」ユーザーも増えてきた。

  日本市場はどうかというと、スポーツドリンク・機能性飲料、パウチゼリー、アミノ酸訴求製品、粉末飲料(プロテイン入り含む)、ニュートリション(栄養)バー(プロテイン入りを含む)、食事代替品(プロテイン、炭水化物)などで構成される、「アクティブ&ウェルネス市場」では、2017年の見込みで4200億円規模があるといわれていた。スポーツドリンク・機能性飲料が5割超のシェアを占めているが、その成分にプロテインを含む、粉末飲料(10%)、ニュートリションバー(9%)、食事代替品(5%)を合計すると20%強の規模になる。

 売上規模の成長率でみると、2018年予測では、粉末飲料は2010年比で約1.7倍、ニュートリションバーは約1.3倍。プロテイン関連に限定すると、粉末プロテイン飲料は3倍(金額ベースでは300億円近く)、プロテインバーは2倍(同5億円)に拡大すると見込まれていた。(いずれも富士経済「アクティブ&ウェルネス市場2018」)

植物性プロテインが海外で拡大する必然の理由とは?

 デュポン(http://www.dupont.co.jp/)の担当者は「2019年には数多くのプロテイン商品が上市されており、市場はさらに拡大している」ととらえている。また、3年連続でスポーツの祭典が日本で開催される(2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2021年のワールドマスターズゲーム関西)ことから、日本のスポーツ産業市場は、2012年から2025年の間に2.5倍に拡大すると予測されているが(経済産業省「スポーツ未来開拓会議中間報告」)、スポーツプロテイン市場も同じレベルで成長するだろうと見込んでいる。

さまざまなプロテイン製品を提案するデュポン社のブース

 この成長市場において、デュポンでは、粉末飲料・RTD/乳製品/ベーカリー製品向けに、粉末状大豆たんぱく、粉末状えんどう豆たんぱく、粉末状カロブ豆(いなご豆)たんぱく、栄養バー/肉代替品に対しては大豆ナゲッツ(クリスプ)、組織状植物たんぱくを供給していくという。

 現在は、大豆たんぱくが植物由来のプロテインの主流だが、えんどう豆たんぱくは非アレルギー性のため、とくに欧米で市場が拡大中であり、カロブ豆たんぱくは食物繊維も豊富なプロテインとして注目を集めている。

 大豆、えんどう、カロブの3種の植物プロテインをブレンドした同社の「ボタニカルプロテイン」は、植物性食品を好む層のボディメイク/ダイエットに向いており、ホエイ(牛乳に含まれるたんぱく質の一種)、ソイ(大豆のたんぱく質)、ガゼイン(ホエイと同じく、牛乳を主成分とするたんぱく質だが吸収速度がゆっくりとしている)、の3種の消化吸収の異なるプロテインをブレンドした「ゴールデンブレントドリンク」は、筋肉の合成が長時間持続するため、筋肉をつけたいアスリートに適しているという。

 栄養バーに使用する大豆ナゲッツについては、ヘルシースナッキング、高たんぱく食品をキーワードに世界中で市場が急拡大している。デュポンでは髙たんぱく(90%以上、通常は60%程度)のものもラインアップにとりそろえている。組織上植物たんぱくは宗教上の理由のみならず、健康面、環境への配慮などから、動物性食品の摂取を控えるフレキシタリアンが増加傾向にあることに対応するもので、海外ではその伸びが顕著になっている。繊維感をどれだけほんものの肉に近づけられるかが課題だという。