メニュー

味も機能も最先端! 魚総菜の分野で、東海大学海洋学部に注目すべき理由

2019年8月21日から23日の3日間、東京ビッグサイトにて、国内最大のシーフードショー「第21回ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」(主催:一般社団法人大日本水産会)が開催された。日本国内をはじめ世界各国の水産商材と水産関連技術を紹介し、商談や情報交換の場を提供するイベントの場で、今回の出展者数840社、期間中の来場者は延べ3万3572名だった。今回は同ショーのなかで目立った「健康価値訴求商品」について解説したい。

キーワードは「簡便化商品」「青物缶詰」「健康価値訴求商品」

「第21回ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」の開催ポイントのひとつに、「食の簡便化・健康志向の高まり」があげられている。

 それらを象徴するキーワードが「簡便化商品」「青物缶詰」「健康価値訴求商品」だ。

 「簡便化商品」は、中食需要が高まるなかで、温めるだけで食べられる調理済み魚総菜(ファストフィッシュ)の人気が高まっている。「青物缶詰」は、サバ、イワシ、サンマなど青魚系の缶詰には、EPADHAが豊富に含まれ、カルシウムやビタミンDを多く摂取でき、そのまま手軽に食べられるうえ、さまざまな料理にもアレンジでき、女性や若者から支持されている。

 そして3つめの「健康価値訴求商品」だが、健康志向の高まりにより、魚の機能性成分のEPADHA、強い骨や筋肉をつくるのに欠かせないたんぱく質等をクローズアップし、素材や商品の健康価値を高めた商品の開発が進められている。

 今回、日本の大学として「健康価値訴求商品」の展示を行ったのが、東海大学海洋学部だ。

 「通常、まぐろの部位の30%は捨てている。100%使った商品ができないか考えた」(東海大学海洋学部水産学科)

 その研究から生まれたのが、まぐろ専門メーカー、ディ・エッチ・エー・マリンフーズ(静岡県/高橋伸和社長)との共同開発による『ぎゅっツナ』だ。「“魚”肉食系女子が独自開発したまぐろ100%のハム状食材」というキャッチで、まぐろの可食部分を100%使用して開発した、高たんぱく、低糖質の食材だ。

 無着色・無添加、常温保存可能、保存料不使用、「原材料はまぐろ、ごま油、三温糖、岩塩」の安心・安全。「ハムでもカマボコでもない」海の旨味あふれる新食感で、カロリーオフなのに満腹感もある。DHA、コラーゲンに加え、疲労回復(筋肉疲労や精神的な疲労、眼精疲労などの軽減効果)や抗酸化作用も期待されている話題の健康成分イミダゾールジペプチドも豊富に含んでおり、美容・健康に対するこだわりもある。さらに、ブロック状、シート状など用途に応じて使い分けでき、「ノンポーク、ノンアルコール、無添加」の食材としてインバウンド旅行者対応のメニューにも利用が可能だ。常温保存可能だから災害備蓄にも適している。

ぎゅっツナ (https://gyu-tuna.com/)

糖質制限、スポーツ愛好家向けにも販売できる!

 「糖質制限をしている人、スポーツ愛好家、健康志向・本物志向の人、食にこだわりのある人、手軽に栄養を補いたい人、などなど、幅広い世代に向けたマグロの新しい食べ方を提案する食材。忙しいときはそのままかじって栄養補給、キッチンハサミで時短調理が可能で手間要らずという利便性もある」(同)

 また、『ぎゅっツナ』のラインアップとして、糖質を抑えた『ぎゅっツナ糖類0』、カルシウムを加えた『ぎゅっツナプラス』など、健康的な部分をカバーしているものもある。

「魚には、さまざまな健康作用を持つ、不飽和脂肪酸が多く含まれている。企業と連携して、それらを缶詰にしたり、商品をつくったりしている」(同)

 たとえば、水産学科食品科学専攻の食品製造学実習で製造し、創業文政元年(1818年)、かまぼこの製造・販売を行ういちうろこ(静岡県/佐野敏夫社長)との共同開発により商品化した『燻製黒はんぺん』、黒はんぺんをカレー用に改良して使用した『静岡おでんカレー』などがある。『燻製黒はんぺん』は、新鮮ないわしをまるごとすり身にし、独自の燻製方法で旨みを凝縮した商品。『静岡おでんカレー』は、1947年創業のスパイスメーカー、ヤスマ(東京都/簗瀬尊弘社長)、調理食品などのOEMを請け負うセントラルフーズ(長野県/塩沢敬社長)を交えた3社とのコラボにより誕生した。

 こうした学生自身が中心になった対外活動を積極的に行うことにより、大学にとって副次的な効果も表れている。

 昨今は少子化がどんどん進み、都会の有名大学であっても、学生の確保に苦慮しているというが、同学科では学生の集まり具合もよくなっているという。

「企業との連携による共同研究を本格的に行うようになって7、8年になる。食品を食べない人はいないから、われわれの研究はわかりやすく、いい勉強になる。当学科の偏差値も向上していると聞いている」(同)