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値上げが相次ぐ2022年の朝食トレンドを探る

2022年に入り社会情勢の影響による原材料価格の高騰や円安を受け、身の回りで値上げが相次いでいる。食品の値上げも各品目で始まっており、食卓にも影響が現れつつある。そこで、今回は家庭の食卓を連続的に観察してきた食MAPデータから、最近の朝食傾向を探っていく。

食MAP®とは、株式会社ライフスケープマーケティングが提供するマーケティング情報システム。
1998年10月から首都圏30km圏内在住の主婦世帯を対象に、食品の購買、調理、消費までをパネル形式で調査したもの。

2022年2月以降、朝食でのパン類が減少

食MAPデータから朝食のパン類TI値推移を見ると、2022年1月の値上げを受け、22年2月以降前年と比べ減少が続いている。(i-stock/kuppa_rock)
分析期間 : 2021~2022年、1~6月 食卓機会 : 朝食 
TI値 : 1000食卓あたりの出現回数 出典 : 食MAP®

 食MAPデータから朝食のパン類TI値推移を見ると、2022年1月の値上げを受け、22年2月以降前年と比べ減少が続いている【図表①】。22年2~6月期でTI値が減少したパン類の内訳は、菓子パンの減少が最も大きく、次いで食パン・トーストと続き、家計への負担を気にしていることが推測できる。

パン類離脱飲食者は、ご飯やバナナへシフト

 次に、パン類の出現が減少した飲食者の朝食出現メニューを見てみよう。【図表②】は、2021/2/1~22/6/30の通期在籍飲食者のうち22年2~6月期のパン類の出現が前年同期から10%以上減少した飲食者(n=153、以下パン類離脱飲食者)の朝食メニューTI値を前年同期間と比較したものだ。主食ではかけご飯や、ご飯などの出現が増加しており、米へのシフトが読み取れる。かけご飯に使用した食材を見ると、鶏卵の使用率が2022年2~6月期は55.5%で前年同期の18.7%と比べ36.8ポイント増加したほか、残りご飯の使用が増加していることもわかっており、手軽な「卵かけご飯」へシフトしているようだ。

分析期間 : 2021~2022年、2~6月 食卓機会 : 朝食 TI値 : 1000食卓あたりの出現回数 パン類離脱飲食者 : 2021/2/1~2022/6/30の期間に通期在籍し、2022年2~6月期の朝食パン類のTI値が前年同期と比べ10%以上減少した飲食者(n=153) 出典 : 食MAP®

 コロナ禍では、弁当需要の減少などで朝食の米が低迷していたが、ここへきて価格の安定した米に生活者が目を向けているのかもしれない。おかずはご飯類の増加に伴い、味噌汁や納豆、海苔などご飯のお供になる「和風のおかず」が増加している。

 そのほかに、バナナの出現も増加しており、前年同期差は全メニューのなかで最も大きいことがわかる。バナナは果物だが、バナナが出現する食卓は主食の出現が減少することが食MAPデータからわかっており、“主食代替”としての需要が考えられる。併せて、パン類離脱飲食者のなかにはパンから他主食メニューにシフトせず主食自体が出現しない、いわゆる“ロカボ”食卓の割合が増加する傾向も見えている。

 秋口以降も、多くの品目での値上げが予定され、値上げラッシュに終わりが見えない中で、各品目の動向はもちろん生活者の動向にも注視する必要がありそうだ。

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