ノンアルコール飲料のマーケットは近年成長を続けており、特に20年以降はコロナ禍での健康意識の高まりを背景に需要が拡大している。「サントリー ノンアルコール飲料レポート2021」の調査結果から、同カテゴリーのトレンドを探る。
6年連続で成長、伸長著しいカテゴリー
サントリービールの調査によると、ノンアルコール飲料カテゴリー全体の2020年の推定市場規模は対前年比3%増の2313万ケースと、15年から6年連続で伸長し過去最大となった。21年は同11%増の約2570万ケースと引き続き拡大するとみられている【図1】。
ノンアルコール飲料の飲用経験者は56.4%と過去最高となった。さらに自宅内でのノンアルコール飲料の飲用経験がある人の割合も年々上昇し21年は75.1%と過去最高となっている。
飲用頻度については「月1回以上」が38.2%、「週1回以上」が21.9%となっており、どちらも前年に比べ割合が高くなっている。
飲用経験者に飲用理由を質問したところ、「車を運転したいから」(25.8%)、「お酒を飲んだ雰囲気が味わえるから」(23.3%)が上位に挙がった。一方、月1回以上飲用者の飲用理由では、「健康に気をつけたいから」(36.1%)、「お酒を飲んだ雰囲気が味わえるから」(28.9%)が上位に挙がっており、飲用理由の相違がみられる。特に「健康に気をつけたいから」「休肝日を作りたいから」「体の脂肪が気になるから」については差分が大きく、健康意識の高まりからノンアルコール飲料を選択していることがうかがえる【図2】。
バラエティ感のある売場づくりでトライアル促進
これまで運転を控えている人や病気・授乳期の人など、アルコールを摂取できない人向けのイメージが強かったノンアルコール飲料だが、近年は代替品としての飲用だけでなく、日中のリフレッシュやランチタイムなど、幅広いシーンで積極的に飲用されている。
前述の調査で、1年半前と比較したノンアルコール飲料の飲用量変化を質問したところ、約2割が「増えた」と回答。コロナ禍により、自宅で過ごす時間が増える中で、運動不足や体重増加などを懸念し、健康を気遣う意識が高まっていることが飲用を後押ししているとみられる。
定番であるノンアルコールビールテイスト飲料は各社が中味のブラッシュアップに努めており、機能だけでなく味わいも格段に進化している。またノンアルコールRTDやノンアルコールワインなどバリエーションが増え、選ぶ楽しみも増えてきた。常温展開だけでなく冷蔵ケースでの展開も増やすことで来店客に気づきを与えトライアルを促していきたい。