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コロナ禍2年目における「家飲み」の実態

新型コロナウイルスの感染拡大が始まり2年が経過した。いまだ収束が見えないなかで、定着した食行動のひとつに「家飲み」があげられる。そこで今回は家庭の食卓を継続的に観察してきた食MAPデータから、コロナ禍2年目における「家飲み」の実態にスポットをあて食卓傾向を探っていく。

アルコール全体が減少のなかで、割材需要は増加

家庭の食卓を継続的に観察してきた食MAPデータから、コロナ禍2年目における「家飲み」の実態にスポットをあて食卓傾向を探っていく。(i-stock/Mariha-kitchen)

 コロナ禍1年目の2020年3月~21年2月期は、外出自粛などの影響で家庭内におけるアルコール全体の出現が前年比125%と急増した。同時に、飲料を使用したアルコール( 以下「割材使用」)も前年比128%となり、家庭内での割材需要増加が読み取れる。コロナ禍2年目の21年3月~22年2月期におけるアルコール全体の出現は、高い水準を維持するも前年比97%と高止まり傾向だが、割材使用は102%と拡大を続けている【図表①】。また、食MAPでアルコール全体の出現を見ると、出現数上位28%のユーザーが食卓出現数の80%を占めている一方で、割材使用は出現数上位17%のユーザーが食卓出現数の80%を占めていることもわかっている。割材使用は拡大傾向だがヘビー層(リピーター)の影響が大きいため、今後はトライアルの獲得やライト層へのアプローチが必要となりそうだ。

「手づくりレモンサワー」は食中酒としての需要も

 割材需要の拡大と併せて、家庭内で「焼酎+炭酸水+レモン」からつくるいわゆる「手づくりレモンサワー」の出現も増加している。レモンサワーのつくり方別構成比を見てみると、「焼酎+炭酸水+レモン」はコロナ禍前から徐々に出現が拡大し、21年3月~22年2月期に大きく増加した。同様に、家庭内で炭酸水を割材として使用する「レモンサワーの素使用」もコロナ禍以降増加した。一方で、缶チューハイなどの「市販品レモンサワー」は減少傾向となった【図表②】。

 コロナ禍では炭酸水自体の出現が拡大し、アルコールへの割材使用だけでなく、そのまま飲む用途も増加した。炭酸水が持つ、飲料にも割材にも使用できる汎用性が、割材使用拡大の背景のひとつにありそうだ。そのほかには、食中酒としての需要も考えられる。食MAPでレモンサワーの食卓機会別出現割合をつくり方別に見てみると、「市販品レモンサワー」は夕食の割合が88%であるのに対し、「焼酎+炭酸水+レモン」は夕食の割合が94%となることから食中酒需要を推測することができる。自分好みのアルコール度数に調整ができるほか、甘さが抑えられる点が食事と合わせやすいのかもしれない。

 家飲みが定着したなかでアルコールの楽しみ方にも変化が見られ、今後も継続的に動向を把握する必要がありそうだ。

食MAP®とは、株式会社ライフスケープマーケティングが提供するマーケティング情報システム。1998年10月から首都圏30km圏内在住の主婦世帯を対象に、食品の購買、調理、消費までをパネル形式で調査したもの。

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