本連載ではこれまで、「生鮮総菜」をテーマに青果総菜、精肉総菜について述べてきた。今回は魚を使った鮮魚総菜を取り上げたい。厳しいマーケット環境下にある鮮魚部門では、生鮮、加工品、総菜が一体となり、総力戦で「魚食」の普及に取り組むことがポイントとなる。本稿では、①「魚は好きだし、もっと食べたい」に貢献すべき魚総菜、②魚総菜の具体的なチャンス、の2点について述べていく。
“魚食離れ”は本当か「もっと食べたい」にどう応える?
まず、魚をとりまく環境について確認したい。日本における1人1年当たり食用魚介類の消費量は20年近く減少し続けており、2001年の約40㎏をピークに減少傾向となり、19年には約24㎏、ピーク時の6割となっている(参考:農林水産省「食料需給表」)。直近ではコロナ禍の影響で多少変化があったとはいえ、“魚食離れ”の大きな流れは明確だ。一方、世界を見ると魚食は増加しており、消費量は半世紀で約2倍に伸びた。極端な言い方をすれば、魚食離れしているのは日本人くらいだ。
では、本当に日本人は魚食離れしているのだろうか。「魚食に関する調査2020」(マルハニチロ調べ)によると、高校生までの子供を持つ人の66.7%が「子供は魚料理が好き」と答えている。そのほかのさまざまなアンケートでも、好きな料理を聞けば必ず寿司が上位に入る。さらに健康志向が強まり続けている昨今、「魚食=ヘルシー」という認識も強い。
皆、本当は魚をもっと食べたいはずだ。なのに、なぜ食用魚介類の消費量が減るのか。一言でいうと「高くて調理が面倒」だからだ。魚に代わるタンパク源として摂取されている肉の消費量が伸び続けていることからも明らかだ。
今後、人口減少と高齢化により胃袋が小さくなる中では、国内の食料総消費量はさらに減少する。そうした中で魚食を増やしていくためには、まず、「ほかの食品との置き換えで食べてもらう」「いつもの食事の“プラス1品”として魚を食べてもらう」といった機会を少しでも増やすことが大切だ。それが結果的に、消費者が持つ潜在的な不満の解消にもつながるだろう。
さらに小売の立場でいえば、高付加価値商品の開発は必須課題だ。その点において、「魚」という食材を上手に使いたい。消費者の健康志向に刺さり、かつ単価アップにつながる総菜開発がキーの1つとなる。
ほぐし身、小魚……ひと工夫を加えた魚総菜を
従来の魚総菜の
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