ビスケット・クラッカー市場は2020年以降、コロナ禍の巣ごもり需要を取り込み、順調に拡大している。各社では引き続き主力ブランドを強化しつつ、話題となる新商品の投入とプロモーションを仕掛け、市場の活性化を図っている。
シュールなキャラクターがブランド全体を押し上げ売上増へ
全日本菓子協会によると、2020年のビスケット市場は、新型コロナウイルスの影響もあり好調に推移。家庭内需要の高まりからロングセラー商品、定番商品、家族みんなで食べられる大袋商品が増加し、生産数量、生産金額、小売金額ともに前年を上回った。
KSP-POSデータによると、ビスケット・クッキーの期間通算(2020年11月~21年10月)の金額PIは、9970.78円で対前年同期比4.8%増。4月や5月、7月は巣ごもり需要の反動で前年割れとなったが、それ以外は堅調に推移。特に12月~2月は2ケタ増と、大きく拡大している。
不二家では、主力の「カントリーマアム」が好調だ。なかでも急成長しているのが、「カントリーマアム チョコまみれ」。パッケージに描かれている「まみれさん」というシュールなキャラクターが若年層の心をつかみ、SNSなどで情報拡散。新規ユーザーを獲得している。
一方でブルボンは、「アルフォート」の期間限定フレーバーを家族みんなでシェアできる大袋形態で展開。季節フレーバーとして〈ストロベリー〉を発売し、プレミアムラインでは、〈ピスタチオ〉を投入した。ビスケットを中心に大袋やロングセラー商品が順調に推移したことで、同社の2020年度の菓子全体の売上は対前年比1.2%増となった。
“おつまみビスケット”が家飲みの新定番に
コロナ禍の外出自粛から、家飲みが増えつつある現状をうけ、昨年11月にモンデリーズ・ジャパンが提案したのが、「リッツ」をピザ生地に代用するレシピ「リッツdeピッツァ」。見た目の斬新さに加え、「おいしい」「簡単」「見栄えよし」「失敗なし」の4拍子揃ったレシピが反響を呼んだ。今年の11月、新たに加わったのは、キムチをトッピングした韓国風ピッツァや、フルーツをちりばめたフルーツピッツァなど多国籍なレシピ。公開と同時に、家飲みにぴったりなグッズが当たるキャンペーンも展開中。継続して話題を提供していく。
おやつとしてだけではなく、お酒のお供としても選ばれているのがヤマザキビスケットの「ルヴァン」シリーズ。10月に新展開したのが、ブラックペッパーのさわやかな辛みがまろやかなカマンベールの味わいを引き立てる「ルヴァンプライムサンドミニ カマンベール&ペッパー味」と、燻製したチーズパウダーを使用した本格的な燻香がチーズの旨みを引き立てる「ルヴァンプライムサンドミニ 燻製チーズ味」の2種。たっぷり使用したチーズの贅沢な風味が、お酒との相性抜群で、自然と手が伸びるよう、ひとくちサイズにもこだわった。また、「ノアール」シリーズでは、ココアクッキー生地をクランチにすることでザクザク食感に変え、コクのあるミルク風味のホワイトチョコレートを組み合わせた「ノアールクランチチョコレート ホワイト特濃ミルク」が登場。ノアールのビターな味わいと濃厚なミルクの風味がクセになる。本格的な味わいを手軽に実感してもらい、トライアルとリピート購入を促進していく。