
ニトリ・サツドラも採用─“在庫を増やさず売上だけ伸ばす” 次世代ECモデル
小売・流通の現場では、欠品・余剰在庫・需要変動・物流コスト…どれを取っても「在庫を増やすほど経営リスクが高まる」という構造的な矛盾が深まっている。
こうした課題に対し、国内でも ニトリ や サツドラホールディングス が導入を進めているのが、外部セラーの商品を自社ECに取り込み、在庫を抱えずに品揃えを拡大できる“マーケットプレイス型EC” だ。
海外で早くから広がってきたこのアプローチは、品揃えを柔軟に拡張できる成長モデルとして日本の小売・流通にも波及しつつある。この“在庫レス型の品揃え拡大”を支える基盤として活用されているのが、世界450社以上が採用する Mirakl(ミラクル) である。
最新レポート「2025 Marketplace & Dropship Index」では、Miraklを活用する153社が前年比34.3%のGMV(Gross Merchandise Volume(流通取引総額))成長を記録し、世界のEC成長率(8〜9%)の約4倍という結果が示されている。
AI × データ品質で変わる“商品発見”の基準
検索体験にAIが介在する場面は確実に増えており、構造化された商品データと多様なアソートメントはECの競争力に直結する要素になりつつある。
Miraklは自動化により外部セラーの商品データの整備を容易にし、商品情報の一貫性を確保できる点が特徴だ。
こうしたデータ基盤の整備により、Mirakl導入企業では品揃え24.3%拡大 × 欠品抑制 × 在庫リスク低減が同時に進み、“在庫を増やさず売上だけ伸ばす”という難題が現実的な選択肢になりつつある。
さらに資料では、今後進むとされるAgentic Commerce(AIエージェントが購買行動を支援する世界)において、構造化された商品データがますます重要になると言及されている。Miraklが提供する商品データの標準化は、この未来に向けた基盤づくりとしても位置付けられている。
特化型マーケットプレイス × リテールメディアが成長エンジンに
資料では、伸びている企業の共通点として特定領域に集中したマーケットプレイス運営が示されている。代表的な成功企業として紹介されているのが:
- B&Q(ビーアンドキュー/DIY・ホームセンター)
- Decathlon(デカトロン/スポーツ用品)
- Douglas(ダグラス/化粧品・ビューティ)
- 楽天フランス(マーケットプレイス×リテールメディアの先行事例)
これらは外部セラーを厳選し、自社の専門性を軸に粗利・在庫回転・データ品質・顧客体験 を引き上げている。さらに、Miraklのリテールメディア基盤「Mirakl Ads」では、AIターゲティングでCTR25%増・反応率83%増といった成果があり、“広告 × マーケットプレイス” が新たな収益源として機能し始めている。
レポートで読み解ける主なポイント
レポート対象の153社のデータから、成長企業に共通する構造が明確になっている。
- 在庫リスクを抑えたまま品揃えを拡張できる仕組み
- 特化型マーケットプレイスの成功パターンと収益モデル
- AIエージェント時代に求められる商品データ標準化の重要性
なおMiraklは、世界450社以上に導入されており、国内ではニトリ、サツドラなど日本の大手小売も採用を進めている。
“在庫を増やさず利益を伸ばす”という選択肢
マーケットプレイス戦略を成功させるには、組織の体制づくりや社内調整が欠かせない。
そのうえで、在庫リスクを増やさずに品揃えを拡張できる という点が、多くの企業が注目する理由となっている。
「自社でも再現できるのか?」「どのカテゴリーから始めるべきか?」─その判断材料が、このレポートに凝縮されている。