ゴーストストックなど、在庫データの不正確さが招く小売企業の見えないコストが明らかに
コロナ禍を経て、消費者は店舗、EC、モバイルアプリなどを自由に行き来し、いつでも好きな方法で買い物ができることを期待するようになりました。こうした消費者のニーズに対応するため、小売企業各社はあらゆる販売チャネルをシームレスに統合するオムニチャネル化を推進しています。
そのためには、小売企業が各チャネルにおける在庫データ精度を向上させ、リアルタイムに在庫情報を更新できる仕組みを構築することが不可欠です。
RFID業界世界最大手のAvery Dennisonが新たに公開したガイドブック『その商品は今どこに？在庫データの不正確さがもたらす見えないコスト』では、日系小売企業12社(総合小売、アパレル専門店、化粧品専門店、スポーツ専門店、ドラッグストア、計66店舗)の棚卸データを用いて、日本の小売業における在庫管理の課題を独自に分析し、原因と対策を提言します。
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帳簿の陰で見過ごされてきた大きな損失
小売店舗では期末の棚卸資産を確定するために棚卸が行われ、帳簿在庫と実在庫の金額の合計の差分を「ロス率」として評価します。その際に、帳簿よりも多い在庫と少ない在庫は相殺されるため、問題が過小評価されがちになります。しかし、「逆ロス」や「SKUごとの在庫データの精度」といった異なる視点から見た場合、見過ごすことのできない大きな問題が浮き上がってきます。
たとえば、次のような問題が実際に生じていました。
- 問題ないと見られていたロス率が、実は実在庫数が帳簿在庫数よりも多い逆ロスによって相殺され、巨額のロスを隠していた。
- 実在しない在庫が、在庫管理システムまたは帳簿上だけであたかも在庫が存在しているように計上される「ゴーストストック」が発生し、その結果、補充が行われず、欠品状態が続く状況を作り出していた。
12社の棚卸データの分析から判明した注目すべき数字
棚卸データからは次のような注目すべき数字が判明しました。
- 帳簿在庫数と実在庫数が合致するSKUの割合を示す在庫データ精度。12社の平均は76%。うち6社は70%を下回る結果に
- 帳簿上では「在庫がある」ものの、実際には「在庫がない」状態のSKUの割合を示しますゴーストストック率の12社の平均は8%
- ゴーストストック率がおよそ2%改善すると、売上がおよそ1%増加するという相関関係が明らかに
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