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セブン、ローソン、ファミマの決定的な差は?
IDレシート分析から見える優良顧客の購買行動

優良顧客の割合から見えるセブンイレブンの強み

 生活者にとって最も身近な小売業のひとつであるコンビニエンスストア(以下、コンビニ)。コロナ禍により生活者のライフスタイルが変化する状況下、内食・中食・外食のシェアや使い分けにも変化が生じており、コンビニチャネルにおいても立地に合わせた品揃えや商品開発などの施策が必要となってきている。

 他の小売業同様、コンビニにとっても自社のファンである優良顧客の獲得は重要な課題だ。レシートを活用し顧客の店舗横断の購買行動を可視化するIDレシートマーケティングを提唱しているフェリカネットワークスでは、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートの大手コンビニ3社の購買レシート(以下、IDレシート)を集計して分析。月間購買金額と月間購買回数から「①エントリー」「②成長」「③高頻度/低額」「④低頻度/高額」「⑤優良予備軍」「⑥優良」という6つの顧客クラスターに分類し、それを各社で数値化した。

 このデータによると①エントリー層は、ローソンで55%、ファミリーマート50%と半数を占めるのに対し、セブンイレブンは39%と4割を切っている。
次に③高頻度/低額、④低頻度/高額、⑤優良予備軍、⑥優良層の合算を比較すると、ローソンで4.5%、ファミリーマート6.8%とひとケタ台であるのに対し、セブンイレブンは11.2%と1割を超えている。さらにセブンイレブンは一人当たりの平均年間購入金額は27,483円と2社を大きく引き離しており、同社の店舗に熱心なファンがついていることがセブンイレブンの他コンビニとの決定的な差といえるだろう。

 また、②成長層は、セブンイレブンが50%、ローソン41%、ファミリーマートが43%となっている。②成長層は、どのコンビニ企業においても金額構成比が最も高いクラスターであり、この②成長層を優良顧客へと育てていくことがコンビニ成長のカギといえるだろう。

 他にもIDレシートデータでは、チェーンごと・クラスタごとによく買われる商品やカテゴリーをみていくことができる。顧客育成のキードライバーがわかれば、メーカーとしても新商品開発の方向性や生活者ニーズを満たす売り場に必要な品ぞろえの提案がデータに基づいて行うことができるであろう。例えば、アルコールとホットスナックという二つのカテゴリーについて、クラスターごとに購入傾向をみてみると、アルコールでは⑥優良は⑤優良予備軍の実に2.6倍、ホットスナックでも1.9倍も月間購入金額が高かった。このあたりのカテゴリーは確実に優良層移行の為のキードライバーとなっていることがわかる。

購買行動やニーズの変化をスピーディに把握し商品開発へ生かす

 フェリカネットワークスでは、2017年よりコンビニやスーパー、ドラッグストアから外食チェーンなど多岐にわたる業態・店舗のレシートを人に紐づけて集計し分析するIDレシートマーケティングを展開。20年8月にはこのデータを活用した情報サービス「IDレシートBIツール」をローンチし、食品・飲料メーカー向けに提供してきた。

 既存のPOSデータは自社の購買データのみであり、外部データも限定的な範囲の情報開示が中心だが、同社のIDレシートデータは家計簿アプリのレシートデータから抽出されており、3万人のユーザに紐づいた異なる店舗での購買や併買、JANコードのない外食メニューや総菜、継続購買やブランドスイッチなどの情報も把握できる点が大きな特徴となっている。

 同社ではコロナ禍以降の生活者のライフスタイルの変化によりコンビニチャネルの客層やニーズにも変化が生じている点に着目。コンビニの購買レシートを集計・分析することで生活者のニーズや購買行動の変化をスピーディに捉え、コンビニ向けの新たな商品開発や立地にあわせた商品や売場提案を考えるメーカー企業との共創の場として「コンビニBIラボ」を2021年10月29日に立ち上げた。

 同ラボの担当者であるフェリカネットワークス プロダクト&サービス部マネジャーの橋場仁氏は「コンビニBIラボ」開設の背景について、「首都圏を中心に消費の受け皿となってきたコンビニはコロナ禍の新しい生活様式に伴いその役割やニーズが変化しつつある。コンビニに商品を供給する食品・飲料メーカー各社は、この生活者の購買行動変化に合わせた提案や商品開発を求められており、生活者の購買行動をタイムリーに把握できるIDレシートデータの活用需要が急速に高まっているため、ラボという形でプロジェクトを立ち上げた。ラボに参画いただいたメーカー企業様とともに新たな分析ツールを開発することで、コロナ禍以降の生活者のニーズや実態をデータから導き出し、よりよい買い物環境づくりに貢献していきたい」と思いを語る。

 「コンビニBIラボ」ではフェリカネットワークスや参画企業からの分析ナレッジの共有やディスカッション、ツール開発のための分析要望ヒアリング等や分析ツールのパイロット版の提供などを実施している。現在食品・飲料メーカーや原材料メーカーなど15社余りのメーカー企業が参画しているが、参画企業は上限20社まで随時募集中。様々な商品カテゴリーを扱うメーカーが参画することで、より広い視点で生活者の購買変化を捉えることができ、カテゴリーを越えた販促の検討や企業間コラボレーションが生まれることも期待される。

 コロナ禍で急速に変化していく生活者とコンビニ業態。その変化を読むことこそがメーカー企業としても重要であり、その変化を読める数少ない手がかりがIDレシートといえそうだ。

 今回、特別レポートとして、このページで紹介しきれない各チェーンのクラスタごとの数値詳細、クラスタや立地ごとのカテゴリ購買傾向など、実務にすぐに活用できるデータ集がダウンロード可能となっている。コンビニの現状把握や提案の材料に是非活用してほしい。

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資料提供企業:フェリカネットワークス株式会社