店舗でも、配送でも、サプライチェーンでも、米国ではコロナ禍の影響で労働力が不足している。そうしたなか、長年問題視されていたアマゾン(Amazon.com)をはじめとする物流倉庫就業者の労働環境改善の法制化が始まった。これによってますます現場の労働生産性が低下することが懸念されているが、この状況をテクノロジー活用によって乗り越えようとする動きも出ている。
カリフォルニア州で「倉庫ノルマ規制法」が成立
カリフォルニア州のニューサム州知事は9月に全米で初めて、物流倉庫就業者を保護するための規制法「AB701」に署名、同法は来年より施行される。主な内容は次のとおりで、人事管理方法や就労ルールがさまざまな面で規制を受けることになるとみられる。
①企業に対し、倉庫従業員の食事・休憩時間、トイレの使用時間をアルゴリズムで追跡することを禁止。とくに、食事やトイレ休憩その他の健康管理上の理由でノルマ達成ができなかった倉庫従業員の解雇を禁止
②生産性、作業スピードに関するノルマを従業員に開示することを義務付ける。また従業員に開示していないノルマがあった場合、それの未達を理由とした解雇は禁止
③米労働委員会は違反企業に出頭命令を出すことができる。また、就業者の給与データにアクセスし、それが危険な労働条件に基づいたものかどうかを調査する権限が与えられている
まるでアマゾンを標的にしているような内容だが、EC事業者だけでなく幅広い業種が対象となる可能性もあり、州内では食品や自動車部品などの業界団体を含む約50の団体が改正法に反対を表明していた。また、この規制が今後サプライチェーンをさらに悪化させ、結果的に生活費を上昇させ消費者に不利益を与える、という批判もある。
小売各社で倉庫業務の見直し進む
他方、このような動きを見越して、米小売業者の間ではすでに倉庫業務の見直し、自主改善が始まっている。
たとえば
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