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情報BOX:中国の規制強化、巨額の時価総額吹き飛ぶ

北京の証券会社
中国では政府の規制強化により、ハイテク・教育・不動産など、さまざまな業種で大手企業の株式時価総額が激減、市場では次はどこがターゲットになるのかとの警戒感が浮上している。写真は北京の証券会社で昨年1月撮影(2021年 ロイター/Jason Lee)

[上海 13日 ロイター] – 中国では政府の規制強化により、ハイテク・教育・不動産など、さまざまな業種で大手企業の株式時価総額が激減、市場では次はどこがターゲットになるのかとの警戒感が浮上している。

規制強化で影響を受けた大手企業の一部をまとめた。

◎アリババ・グループ

電子商取引最大手アリババの受難が始まったのは2020年後半。傘下の金融会社アント・グループが計画していた370億ドル規模の新規株式公開(IPO)に突然、待ったがかかった。

アリババはその後、市場の独占的な地位を乱用したとして、27億5000万ドルの罰金を科された。

創業者のジャック・マー氏は、昨年10月下旬のスピーチで、中国の規制システムを批判。それ以降、アリババの米国上場株式の時価総額は4000億ドル以上急減している。マー氏のスピーチが政府の怒りを買ったとの見方が多い。

広範な領域に及ぶアリババの企業帝国は、アルゴリズムの利用、消費者のプライバシー、労働者の保護といった多岐にわたる分野で、引き続き規制当局の厳しい視線にさらされている。

◎騰訊控股(テンセント・ホールディングス)

国内最大のゲーム企業、ソーシャルメディア企業であるテンセントは、2月中旬に株価が上場来高値を付けて以降、2兆7000億香港ドル(3471億3000万ドル)分の株式時価総額が消失した。

同社は、過去の買収について独占禁止当局への報告を怠ったとして罰金を科されたほか、2大ゲーム動画配信サイトの合併計画(53億ドル規模)を阻止された。音楽著作権を巡る契約締結も禁止されている。

政府が進めている未成年者のゲーム依存症対策も、事業に影を落としている。政府は8月、18歳未満のオンラインゲームのプレイ時間を週3時間に制限した。

◎滴滴出行(ディディ)

配車最大手の滴滴は、6月にニューヨーク市場で株式を公開した直後に、政府のサイバーセキュリティー調査のターゲットとなった。政府は、中国国内のアプリストアから同社のアプリを削除するよう命令。新規のユーザー登録を禁止した。

6月30日のIPOで44億ドルを調達して以降、同社の株式時価総額は40%以上(約370億ドル)目減りしている。

滴滴は、ドライバーへの賃金の支払い方法を巡っても、国営メディアの批判を浴びている。ロイターの報道によると、同社はデータの管理・監視業務を巡って、国有企業の成都衛士通信息産業と協議を進めている。

◎美団

食品デリバリー大手の美団は4月、独占禁止法調査の対象となり、株式が売り込まれた。その1カ月前、創業者の王興・最高経営責任者(CEO)は、ソーシャルメディアに政府批判とも受け取れる漢詩を投稿していた。

株式時価総額は、2月に上場来高値を付けて以降、1兆2000億香港ドル(1542億8000万ドル)以上減少。配達員の扱いや消費者の権利侵害などを巡っても、批判を浴びている。

◎新東方教育科技集団

中国政府が学校の主要教科について営利目的の個別学習指導を禁止した7月以降、学習塾大手の新東方教育科技集団の米国上場株式は時価総額が74億ドル減少している。

政府は、学校に通う子供の負担と、出生率低下につながっている教育費の負担を緩和したい考えだが、アナリストは、今回の措置を受けて、民間教育産業が大幅に縮小する恐れがあると指摘している。

同社をはじめとする学習塾は、演劇のレッスンや子供を持つ親向けの教育コースなど、業態転換を模索している。