[ワシントン 4日 ロイター] – 米商務省が4日に発表した3月の貿易収支は、赤字額が前月比5.6%増の744億ドルと、過去最大に達したほか、市場予想と一致した。国内需要が急速に拡大する中で輸入が増加した。米経済活動は他国より早く持ち直しており、今後も赤字は拡大する可能性が高い。
ブリーン・キャピタルのシニアエコノミックアドバイザー、コンラッド・デクワドロス氏は「内需が米国経済の生産能力を上回っているため、貿易赤字の拡大は今年の経済の特徴として根強く残るだろう」と述べた。
輸入は6.3%増の2745億ドルと過去最大。モノの輸入も7.0%増の2344億ドルと過去最大を記録した。消費財と食品、資本財の輸入が過去最大となったほか、衣料と家具、おもちゃ、半導体、自動車、石油製品、通信機器など幅広い項目で輸入が増えた。一方、民間航空機と携帯電話は減った。
輸出は6.6%増の2000億ドル。モノの輸出が8.9%急増し1429億ドルとなった。産業用資材と原料、資本財、消費財の増加が目立った。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は引き続き、旅行を含めたサービス輸出の抑制要因となっている。サービスの貿易収支は黒字額が171億ドルと、2012年8月以降で最低だった。
インフレ調整後の実質的なモノの貿易赤字は42億ドル増の1031億ドルと、過去最大に達した。
国別では、対中貿易赤字が276億9000万ドルと、前月の246億2000万ドルから拡大。メキシコや韓国からの輸入も過去最高となった。
シティグループのエコノミスト、ベロニカ・クラーク氏は、対中赤字について「ここ数カ月間の拡大により、関税の結果として起こった縮小が帳消しになった」と指摘した。