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さまざまな飲食物とコーヒーが融合!コロナ禍で伸びるコーヒー消費量と新たな食文化とは

近年アメリカで消費量が増えているコーヒー。新型コロナウイルス感染拡大に伴う営業制限や自宅生活で、コーヒーショップが減少する一方、家庭用コーヒー市場が拡大している。しかも、単に家庭でコーヒーを飲む機会が増えているだけでなく、さまざまな商品にコーヒーフレーバーが使われるなど新しいコーヒートレンドが誕生している。

ステイホームで家庭内のコーヒー消費量が拡大。新たなコーヒー文化も誕生している

ミレニアル世代をターゲットにコーヒー業界が変化

 全米コーヒー協会(National Coffee Association)が発表した報告によると、アメリカの成人の64%が毎日1杯のコーヒーを飲んでいるという。近年、アメリカにおけるコーヒーの消費量は、年々増加しており、アメリカのコーヒー市場は、2017年から18年にかけて、3.8%上昇し、現在は約450億ドル(約4兆9000億円)の市場規模があると言われている。

 新型コロナウィルス(コロナ)の影響で、家庭外のコーヒー消費は減退している。世界的なロックダウンや隔離生活、営業制限などにより、多くのコーヒービジネスが閉じ、20年末にはアメリカだけで、コーヒーショップの数が約7.3%(約2,000店)減少し、11年以来初めての減少となった。

 その一方、自宅でコーヒーを楽しむ人が増えて、家庭用コーヒー市場が拡大している。コーヒーを自宅で作っている人が、17年には75%だったが、19年には79%となった。20年11月の市場調査会社ミンテルのリポートで、飲食部門副参事 Caleb Bryant氏は、「消費者は、自宅で自分のコーヒーを飲む方が安全で経済的ということがわかり、この傾向はコロナが落ち着いた後も、続く可能性がある」と述べている。

 近年、コーヒーの好みや味わいは、大きく変化してきており、業界は今日のコーヒー愛飲者が求めている多種多様なニーズを理解する必要がある。全米コーヒー協会は、特に若い世代の間で、コーヒーの人気が高まっていることから、コーヒー業界はミレニアル世代を対象にしたトレンドに合わせるよう変化している。

コーヒーとコーラが一体化!

 コカコーラ(Coca-Cola Company)は、コロナの影響で、アメリカ人の日々のコーヒー習慣が変化していることから、「コカ・コーラ・ウィズ・コーヒー」(コーヒー入りのコーラ)を今年1月から発売し始めた。ブラジル産コーヒーを使用し、フレーバーは「ダーク・ブレンド」「ダーク・ブレンド・ゼロ・シュガー」「バニラ」「バニラ・ゼロ・シュガー」「キャラメル」の5種類で、カフェイン量はコカコーラの2倍だが、カロリーは半分。このコカ・コーラ・ウィズ・コーヒーは、18年に日本で試験的に発売した後、2019年にオーストラリアやタイ、イタリアなど世界25カ国ですでに販売されていて、アメリカ市場は50番目のマーケットとなった。

 コカ・コーラの炭酸飲料部門CMO(最高マーケティング責任者)であるメザ氏は、「コロナの拡大は、このような大きな賭けとなる商品を発売することで、どのように立ち上げ、検証、改善し、拡大していくかを、これまで以上にしっかり行っていく必要性を加速させた」と述べた。

 コカコーラ社は、このコーヒー入りのコーラを、リフレッシュメント・コーヒーという新しいカテゴリーと位置づける。コカ・コーラの北米トレードマーク担当バイスプレジデントを務めるジェイディープ・キベ氏は、このドリンクが近年で最も成功したイノベーションの1つだと語った。パンデミックで、アメリカ人のコーヒーの習慣が変化していることから、在宅勤務中、カフェインの刺激が欲しいちょっとした気分転換に、カフェイン補給として、手にとってもらえるチャンスがあるとし、このシリーズの勝機があると考えたのである。

 コカ・コーラやコーヒーの愛飲家の50%以上が、両方の飲み物を定期的に好んで飲むという調査結果があったり、最近の消費者は違う飲料カテゴリー同士を合わせた新種の飲料への関心が高いことも、今回の飲料発表につながった。

さまざまなフード・ドリンクにコーヒーが融合

「Coffee beyond the mug」を合言葉にコーヒーを使ったさまざまなフード、ドリンクがスーパーマーケット店頭に増えている

 アメリカの自然食品スーパー大手ホールフーズマーケット(Whole Foods Market)が発表した2021年の食品トレンド予測の1つにも、「Coffee beyond the mug」(コーヒーはマグカップで飲むだけではない)が取り上げられた。コーヒー風味の栄養補助バーや、グラノーラ、スムージー、お酒、コーヒー味のヨーグルトなどが販売され、アメリカでは、色々な食べ物や飲み物がコーヒーと融合されている。また、コーヒーに、粉末やタブレットをちょっと足して、より健康的にするのも流行っている。

コーヒーブームは、コーヒー味のヨーグルトなど新たな展開をみせている

 コーヒーショップのオーナーや、いくつかのカフェでは、コーヒーのメニューに健康的なコーヒートレンドを導入しているところも多く、コラーゲンクリーマーやMCTオイル(中鎖脂肪酸のオイル)などを追加できるオプションを導入している所も増えてきた。また、もともと適量の摂取であれば、健康に良い影響をもたらすとも言われているコーヒーだが、さらに健康効果を求める人たちが注目し、人気となっているのがマッシュルームコーヒーやモカラテだ。マッシュルームコーヒーは、乾燥キノコを粉末にして抽出したエキスに、コーヒーを合わせたもので、ストレス軽減や、免疫力増強に良いと言われている。

 植物由来食品・飲料の大手企業であるCalifia Farmsがマーケティングリサーチ会社One Pollに委託して、アメリカ在住のコーヒー愛飲家2000人を対象に行った調査では、コロナのロックダウン中、4人に1人がダルゴナコーヒーを作ったとも回答した。ダルゴナコーヒーとは、韓国発祥のホイップ状になったコーヒーで、インスタントコーヒー、水、砂糖を泡立てるだけで手軽にできるとあって、自宅で作るカフェトレンドの火付け役ともなった。

 これから、この自宅でのカフェトレンドが、どのように飲料業界を巻き込んで進展していくのか、この先、どんなコーヒー文化が到来するのか、目が離せない。