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アングル:中国、今年は厳しい春節 ジレンマのホテルや飲食店

北京で春節用 の食材を買い求める人々
2月9日、中国のホテルや飲食店は今年、さえない春節(旧正月)を覚悟している。写真は8日
北京で春節用
の食材を買い求める人々(2021年 ロイター/Thomas Peter)

[北京 9日 ロイター] – 中国のホテルや飲食店は今年、さえない春節(旧正月)を覚悟している。政府が人々の移動を制限し、大きな集会を避けて家で過ごすよう呼び掛けているためだ。

春節の大型連休は今年は12日に始まり、1週間続く。例年なら個人支出が最も盛り上がる期間の一つで、政府のデータによるとコロナ禍前の2019年の支出は1兆元(1550億ドル、約16兆2000億円)を超えた。

16都市で100以上の店舗を構える牛肉火鍋チェーンBaheliの創業者、リン・ハイピンさんは「春節前の時期としては、客入りが例年のたったの半分だ」と嘆く。

大きな集会を避けるよう「通達」が出ているため、商売をてこ入れするための宣伝も控えている。「今の政策の下では、客を入れ過ぎるのも怖い」とジレンマを訴えた。

リゾート地の高級免税店も打撃

中国では最近、散発的に新型コロナウイルスの感染が広がったため、制限措置が厳格化された。この影響で春節期間に交通・観光産業は打撃を被りかねない。CITICセキュリティーズの試算では、家計支出が最大1500億元(230億ドル)失われる恐れがある。

1月半ばには国内で感染者数が2000人を超え、過去10カ月余りで最多となった。ただ直近では減少している。

それでも地方政府は他の地域から到着する人々にコロナ検査を義務付けるなど対策を強化したため、多くの人々が航空便の休暇旅行や帰省の予約をキャンセルした。

キャンセル増加の影響で、例えば海南島のビーチリゾート、三亜市行きの航空運賃は半分以下に下がった。免税店が集まる三亜は、コロナ禍で海外旅行が難しい中で、高級品ショッピングの「聖地」となった場所だ。

「ジミーチュウ」や「ベルサーチ」を抱える米ファッションブランド持ち株会社カプリ・ホールディングスはアナリストに対し、海南島の店舗での売り上げは好調が続くと予想したものの、旅行の勢いが鈍りそうなため「これまで期待していたほどの強さにはならない」との見通しを示した。

中国交通運輸省が春節を中心とした今年の春季の観光シーズン40日間の旅客者数を推計したところ、19年に比べ40%減る見通しとなった。例年なら数百万人の出稼ぎ労働者が都市部から地方に帰省する時期だ。

中国経済は昨年2.3%のプラス成長を確保し、今も回復軌道にある。昨年マイナス成長を免れた唯一の経済大国だ。

政府は、結婚式や会社の恒例の宴会といった大規模集会を控えるよう警告。これもキャンセルの動きの増加につながった。

離れた都市を結んで火鍋ディナー

浙江省にあるブティックホテルの支配人シェン・シャオリンさんは「営業中だが閉じているも同然だ」と言う。

部屋数17のこのホテルは春節の予約が1件も入っていない。1週間ずっと満室だった過去の春節とは隔世の感だ。

連休中も勤務地にとどまる人が多い中、都市にいながら息抜きができるサービスに賭ける事業主も出てきた。ただ、客数を制限しなければならないという問題は残る。

火鍋チェーンの海底撈火鍋は、IT技術を使ってそうした悩みを和らげようとしている企業のひとつだ。同社は家族や友人が複数都市のそれぞれの店舗で同時に夕食を取りながら春節を祝えるよう、ビデオ会議ツールのオンライン配信サービスを始めた。国内41都市の52店舗に加え、インドネシア、マレーシア、タイの5店舗で利用可能だ。

「(都市のランクで)いわば3級、4級の都市の店舗を意識的に選んだ。今年帰省できない若者の多くが、そうした都市に住んでいる」と説明するのは同社のシュー・シャオチェン最高戦略責任者。「物理的には離れていても、一緒にいると感じられるようにするための工夫だ」と話した。